症例A
- 作者: 多島斗志之
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2003/01/24
- メディア: 文庫
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感想
ネットで多重人格ものの読み物としてこの本がお勧めされており、それで興味を持って読んでみた。感想としては、大当たりってところ。本当、読むことが出来て良かったって思えるほどの良書だった。
まず、境界例とか精神分裂病とか多重人格なんかの精神疾患について詳しく説明されており、勉強になるってのが一点。診断の難しさがリアルに描かれていた。巻末の参考文献の量も半端ない。著者がものすごい労力をかけて取材し、題材を理解して書いていったのがよく分かる。楽しみながら学べるってのは最高の勉強手段だよね。実際、色んな知識を取り入れることができた。
話の流れ・ストーリーもとても良かった。ぐいぐいと物語に引き込まれ、一気に読み進めていった。終わり方もいいね。Amazonでは多少心残りというか、不満意見も見られたけど。これからまだまだ物語は続くんだろうけど、全ての謎を明かしたあそこで終わるのが、一番いい終わり方だったんだろうな。後は消化試合になってしまうだろうから。
どういう繋がりから良書に出会えるか分からない。読書に限らず、どんな分野のことであっても、色んな人との繋がりの中で様々な経験・体験が積めるんだろうな。本当、「生きてるって愉しい」って思える瞬間だよな。色々なところからの出会いを大切にして、どんどん新たな驚きや発見を積み重ねていきたい。