40歳アリリタ(早期退職)達成者のブログ

メインは書評(自分語り)。色々と経験する中で自分の生き方が固まり、2014/11/02の記事を集大成に方針確定。2020年3月末、40歳にてアリリタ達成!

症例A

症例A (角川文庫)

症例A (角川文庫)

境界例患者は不気味なほどの洞察力を持っている。彼らは病院内での医師や看護婦たちの人間関係を、きわめて微妙なところまで鋭く読み取ってしまう。表に出ない不和や対立、あるいは絡み合った情念の部分まで、気味がわるくなるほど正確に見抜いてしまう。


感想
ネットで多重人格ものの読み物としてこの本がお勧めされており、それで興味を持って読んでみた。感想としては、大当たりってところ。本当、読むことが出来て良かったって思えるほどの良書だった。

まず、境界例とか精神分裂病とか多重人格なんかの精神疾患について詳しく説明されており、勉強になるってのが一点。診断の難しさがリアルに描かれていた。巻末の参考文献の量も半端ない。著者がものすごい労力をかけて取材し、題材を理解して書いていったのがよく分かる。楽しみながら学べるってのは最高の勉強手段だよね。実際、色んな知識を取り入れることができた。

話の流れ・ストーリーもとても良かった。ぐいぐいと物語に引き込まれ、一気に読み進めていった。終わり方もいいね。Amazonでは多少心残りというか、不満意見も見られたけど。これからまだまだ物語は続くんだろうけど、全ての謎を明かしたあそこで終わるのが、一番いい終わり方だったんだろうな。後は消化試合になってしまうだろうから。

どういう繋がりから良書に出会えるか分からない。読書に限らず、どんな分野のことであっても、色んな人との繋がりの中で様々な経験・体験が積めるんだろうな。本当、「生きてるって愉しい」って思える瞬間だよな。色々なところからの出会いを大切にして、どんどん新たな驚きや発見を積み重ねていきたい。