21世紀の歴史
- 作者: ジャック・アタリ,林昌宏
- 出版社/メーカー: 作品社
- 発売日: 2008/08/30
- メディア: 単行本
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日本の今後
日本は世界でも有数の経済力を維持し続けるが、人口の高齢化に歯止めがかからず、国の相対的価値は低下し続ける。1000万人以上の移民を受け入れるか、出生率を再び上昇させなければ、すでに減少しつつある人口は、さらに減少し続ける。日本がロボットやナノテクノロジーをはじめとする将来的なテクノロジーに関して抜きんでているとしても、個人の自由を日本の主要な価値観にすることはできないであろう。また、日本を取り巻く状況は、ますます複雑化する。例えば、北朝鮮の軍事問題、韓国製品の台頭、中国の直接投資の拡大などである。
こうした状況に対し、日本はさらに自衛的・保護主義的路線をとり、核兵器を含めた軍備を増強させながら、必ず軍事的な解決手段に頼るようになる。こうした戦略は、経済的に多大なコストがかかる。2025年、日本の経済力は、世界第五位ですらないかもしれない。
将来有望な産業を二つ挙げると、保険業と娯楽産業である。この二つの産業は、すでに世界経済を支配しており、今後、さらに躍進する。
市場の原理が民主主義の原理を打ち負かすと、教育、治療、安全、次に司法や統治権といった公共サービスは、民間企業との競争にさらされる。インターネットに接続されたユビキタス・ノマドが足跡を残すことで、超監視体制が築かれる。保険会社の経営が成り立つように、各個人や企業は、これらの規範を満たしていることを第三者に立証してもらうことを受け入れなければならない。そして全員が監視されることを容認せざるを得なくなる。
感想
不確実な未来を予想する本であるため、この内容がそのまま進展するわけではない。ただ、そう進みうる芽は現段階でもあると思うので、今後どのように世の中が進んでいくか、積極的に注視し、それに対応した対策をとっていきたい。
前半部ではこれまでの世界がどのように進んできたかを総括しているんだけど、世界史に興味がある身としては結構参考になった。世界史は中身が膨大すぎてなかなかまとめきれないものだからな。これを核としてどんどん肉付けしていきたい。世界史関係の本もどんどん読んでいきたいが、日本史にも興味あるし、本格的に取り組むのはその後になるかな。
監視社会の到来や、保険会社の台頭などは、本当にありそうだよなあ。グーグルが世界中の情報を集めることへの不安や、サブプライム時のリスクの取り方の不備等、まだまだ問題はあるけれど、それも時経つうちに、危険性よりも利便性が意識されるようになんじゃないかな。面白そうでもあるし、怖そうでもある。いつも意識しようとしていることだけど、どんな世の中になったとしても、一つの視点に凝り固まるのではなく、常に幅広い視野と考え方を確保し、柔軟に対応できるようにしたい。