神々の誕生−易・五行と日本の神々−
- 作者: 吉野裕子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2004/10/14
- メディア: 単行本
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古代理解のために先人が信を寄せていた所、基準としていた所を求めるとすれば、それはあるいは祖先神に対する篤い信仰、あるいは外から寄り来る神に対する畏敬の念が挙げられ、考えられてきた。私見によれば、それらの神々に対する信仰ももちろんであるが、それらと相並んで、時にはそれらに優って古人が心を寄せていたものは、「理」即ち「易の理」であった。
災害の多いこの列島に住み、稲作を生産の基本とする祖先達にとって、その最大の祈りは日照降雨のバランス、風水の無事であった。易の理はまさにその自然の正しい輪廻を説くものであって、これ以上、日本人の生活に適しい教えを日本民族は知らなかったのである。
木火土金水の五要素の輪廻・作用が「五行」であるが、この五行には、「相生」、「相剋」の二つの理が考えられた。
相生:木生火、火生土、土生金、金生水、水生木
相剋:木剋土、土剋水、水剋火、火剋金、金剋木
宇宙の森羅万象はプラスの面のみを強調して活動しつづければ必ず破局に見舞われる。一方に必ずマイナスの面が必要である。木火土金水は宇宙森羅万象の象徴であるから、そこに相生・相剋の二面が考えられるのは当然なのである。
森羅万象の象徴である木火土金水の間に、相生・相剋の二面があって、万象ははじめて穏当な循環が得られ、この循環、即ち五行によってこの世の万象の永遠性が保証されるというわけである。
感想
九州・屋久島旅行で日本神話に興味を持ったこともあるし、もともと日本史に詳しくなりたいっていう思いを持っていたこともあるし。そこで、日本の神話・祭礼・芸能と、易・五行との関わりについて解説した本書を読んでみた。入門書というよりはもっと専門的な深い内容だったため、かなり難しかった。でも、日本の神々、祭り、信仰について今まで知らなかったことが色々と知れて、かなり面白かった。また易・五行について大枠を知ることができたのも嬉しかった。名前は聞いたことがあっても、それを深く調べたことはなかったので。
古代の人々は森羅万象を理解するために色々な思想・解釈を生み出し発展させていったんだなあ。その深さには驚嘆させられる。言葉・漢字の様々な解釈や関連付けなども。もっともっと調べていって理解できるようになったら面白いだろうなあ。観光で神社仏閣に行くのは結構好きだけど、ここら辺が分かるようになると、また違った感慨を抱けるようになると思う。今後、どんどん深めていきたい。
それにしても、ちょっとずつ知識を広げていくと、知りたいことがどんどん溢れてくる。それが嬉しいし、楽しみだ。こういう好奇心を失わず、これからも色んな分野に手を広げていきたい。