40歳アリリタ(早期退職)達成者のブログ

メインは書評(自分語り)。色々と経験する中で自分の生き方が固まり、2014/11/02の記事を集大成に方針確定。2020年3月末、40歳にてアリリタ達成!

日本は世界5位の農業大国−大嘘だらけの食料自給率−

日本は世界5位の農業大国 大嘘だらけの食料自給率 (講談社+α新書)

日本は世界5位の農業大国 大嘘だらけの食料自給率 (講談社+α新書)

自給率が示す数字と一般的な感覚がかけ離れているのは、農水省が意図的に自給率を低く見せて、国民に食に対する危機感を抱かせようとしているからである。では、なぜそんなことをするのか。どうすればラクをして儲けられるか、いかにして省や天下り先の利益を確保するかという自己保身的な考え方で、農水省が農業政策を取り仕切っているからである。自給率政策によって、あたかも農水省が国民を「食わせてやっている」かのようなイメージ操作が実現できるからだ。その結果、統制経済的で発展途上国型の供給者論理を正当化し、農水省予算の維持、拡大を図っている。

なぜ民主党は擬似農家の赤字を奨励するのみならず、農業で生計を立てている黒字農家の成長を妨げるような制度を作ろうとしているのか。実は、農業界全体を弱体化させることこそが、民主党の狙いなのである。農業が弱くなればなるほど、農家の政治依存、民主党支持が高まるからだ。

約200万戸の販売農家のうち、売上1000万円以上の農家はわずか7%の14万戸。しかし、彼らが何と全農業生産額8兆円のうちの6割を産出しているのだ。売上100万円以下の農家が120万戸も存在するが、彼らは国内生産額にわずか5%しか貢献していない。問題は、大多数の趣味的農家や兼業農家が日本農業を代表しているかのような、偽情報を配信する政府やメディアの姿勢にある。民主党は票田獲得のために、擬似農家を含めた赤字農家に補助金をばらまくのである。農水省は、国民生活に寄与する産業の姿を建設的に示す役割を放棄し、ある意図を持って情報操作を行っているのだ。


感想
読んで、かなりの衝撃を受けた。農水省が先月発表したところによれば、2009年度の食糧自給率は40%になったとか。でも、そうやって発表して危機感を煽っている裏側には、政府の、官僚の利益誘導があるんだそうだ。訴えられた側からしてみれば色々と反論もあるのかもしれないけど、実際にそういう面もあるんだろうな。自給率の算出法のカラクリについては以前から指摘されてきたことではあるが、それがマスコミ等によって一般に広がっていかないのは、何なんだろう。
ただ、日本が世界5位の農業大国だってのはどうかと思うけど。8月26日の日経新聞によると、農業総産出額8兆5千億円に対し、国や地方自治体が4兆6千億円も税金を使っているとか。倍以上の水増しがあるわけで、そんな数字で安心していてはいけないだろう。日本と外国の物価の違いもあるし。Amazonのレビューを読むと、他にも色々と突っ込みどころはあるみたいだ。
両者の意見を戦わせ、議論をもっと深め、真実を明らかにしていくことが必要だろう。この本は結構話題になって売れたみたいだし、これを引き金にして議論が巻き起こっていけばいいと思う。