40歳アリリタ(早期退職)達成者のブログ

メインは書評(自分語り)。色々と経験する中で自分の生き方が固まり、2014/11/02の記事を集大成に方針確定。2020年3月末、40歳にてアリリタ達成!

新ゴーマニズム宣言SPECIAL「個と公」論

「個と公」論―新ゴーマニズム宣言SPECIAL

「個と公」論―新ゴーマニズム宣言SPECIAL

ハル・ノート出されたって、戦争はせん、言われたとおりに引っ込もう、満州からもシナ大陸からもどこからも全部引っ込んでしまおう、と思うような国民性と、戦後に高度経済成長をやった国民性とは矛盾しすぎてるよ。第一、ハル・ノートを出されても戦わないような国民だったら、日清戦争にも日露戦争にも負けてたよ。

軍国主義を必要としたその時の「公」っていうのは、非常手段だよ。現在ペルーのフジモリ大統領がやってることと同じで、議会をほとんど停止して独裁的にやらないと、あの国はテロだらけでむちゃくちゃになるんだから。過渡期には軍国主義的な体制が必要なことだってあるんだよ。アウン・サン・スー・チーだっていきなり民主主義、民主主義って言ってるけど、今の状態のミャンマーという国に、この国際関係の中で、いきなり民主主義を手渡してしまって、その「公」が通用するかどうか、保証の限りじゃないよ。それはそれぞれの国が置かれている過程というものがあるんだから、その時代の中で現れた「公」というものがあると認めないと仕方ないことだよ。


感想
著者が以前に出版した本「戦争論」に反論してくる人たちに対して、完膚なきまでに反論・粉砕してみせる本。ゴー宣はいつもマンガ形式なんだけど、この本だけは文章のみで構成されている。
それにしても、切りたい放題だな。相手の主張が幼稚すぎるってこともあるんだろうけど。仮にも大学教授とかジャーナリストとか、権威があって一般に及ぼす影響が大きい人たちなのに、こんなことでいいんだろうか。こうやって権威者が事実に合わない妄言を発するから、それをマスコミが取り上げ、大衆が信じ込んでしまうんだよ。彼らの発言を記録し、虚実を分析し、一般に知らしめる仕組みが必要だよな。まあこの本は10年前の本なんで、今現在彼らの権威がどうなっているかは分からないけど。
とはいえ、著者も反論するために都合のいい箇所を引っ張ってきているって面もあるだろうからな。僕も相手の本を読んだわけでもないし。そういう点は割り引いて読まなければならないだろう。まあ別に彼らの擁護をするつもりもないし、反論者への反論を通して著者が言いたいことさえこっちに伝わってくればそれで十分。この本に関する反論があるなら、それは読んでみたいと思う。
人間が事実を曲げてまである種の主張をするのは何でだろうと考え込んでしまった。事実を事実として見れない、それは人が本質的に持っている弱さなのかなあ。「見たいものしか見ない」ってのはいつの世にも通用する真理だし。そうやって自分の世界を守らないと人ってのはすぐに壊れてしまうものなのかな。気付いた時すぐに修正したほうが立て直しやすいし、放置しておけばそれだけ傷が深くなりそうな気もするのになあ。それとも、人生80年くらいなら気付かず過ごしたって問題ないってこと?人類がこれだけ経っても修正しないってことは、より良く生きるために最適化された行動ってこと?
人間って奥が深いからな。理解が進み、そこら辺が解明されていったら面白いな。何にしろ、より良く生きる道を模索していきたい。