期間限定の思想
- 作者: 内田樹
- 出版社/メーカー: 晶文社
- 発売日: 2002/11/25
- メディア: 単行本
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私は女の欲望について、一つだけ分かったことがある。それは、男が「君が何を望んでいるか、私は分かったよ」と言うことを、女は決して許さないということである。「君を理解したい」という言葉は女性を優しい気持ちにさせる決めの言葉だ。でも、「君を理解したよ」という言葉を口にするのは、喧嘩を売っているのと同じである。「理解されること」、それを女性は切実に願いながら同時に忌み嫌っている。「理解したい」が「理解できない」状態に男が永遠に足踏みしていること、女性が望んでいるのはそれなのだ。
だいたい一番攻撃的な人というのは、自分は善人で、本質的に正しい、という大前提がある人ですよね。そういう人は、逆にいくらでも残酷になれる。宗教戦争がいちばん凄惨な戦争になるのと同じです。でも自分の中に邪悪なキャラクターやろくでもない性格が混在しているということが分かっている人間というのは、自分には人を裁く権利がない、というふうに考える。
社会矛盾というのは絶対になくならない。対立も続く。絶対に折り合わない多様性というものもある。それをなくそうとしても無理なんです。だから、それはそのままにしておいて、多様性のなかから引き出しうる最適性、利益の最大値を取り出すにはどうすればいいかということを考えることが、社会理論としてはいちばんたいせつな仕事だと思うんです。
感想
「本当に成熟した人間」の話。もちろん、周りに支えられて生きているってのは分かっているけれど、本当の意味では実感できていないような気もする。一人でも十分生きていけるしな。って、前もこんなこと考えたことあったな。何が言いたいかって、伴侶としてそういう存在を得たいな、と。本当にそう思ってるのか?これも相反する気持ち?これが僕をより成長させる。とか言ってみる。
女の欲望についての話も面白いな。まあこれも、全く実感したことはないんだけどさ。経験したいことでもないしね。
「相反する二つの力が一つのシステムの中で同時に作用するとき、そのシステムそのものがものすごいエネルギーを放出する。」ってのはよく分かる。でもそれを、憲法九条と自衛隊にも当てはめるってのはすごいなあ。なるほどねえ。確かにそうなのかも。小林よしのりさんなんかは強硬に主張しているけれど、あの方向で突っ走ってしまったら、それはそれで問題が生じるのかもな。まあ実際、一気に片が付くなんてことはないだろうけどさ。そう考えると、今の日本の状況ってのは上手いこと回っているのか?日本人は無意識のうちに最善の決定をしているとか?ただ単に優柔不断で後延ばしにしているだけのようにも見えるけど、そうじゃないといいなあ。