40歳アリリタ(早期退職)達成者のブログ

メインは書評(自分語り)。色々と経験する中で自分の生き方が固まり、2014/11/02の記事を集大成に方針確定。2020年3月末、40歳にてアリリタ達成!

寝ながら学べる構造主義

寝ながら学べる構造主義 ((文春新書))

寝ながら学べる構造主義 ((文春新書))

世界の見え方は、視点が違えば違う。だから、ある視点にとどまったままで「私には、他の人よりも正しく世界が見えている」と主張することは論理的には基礎づけられない。私たちはいまではそう考えるようになっています。このような考え方の批評的な有効性を私たちに教えてくれたのは構造主義であり、それが「常識」に登録されたのは40年ほど前、1960年代のことです。

精神分析的対話は、被分析者が「ほんとうに体験したこと」や「ほんとうに考えていること」を探り当てるためになされているのではありません。病因となっている葛藤が解決されるなら、極端な話、何を思い出そうと構わないのです。精神分析の使命は「真相の究明」ではなく、「症状の寛解」だからです。

長く語り伝えられている説話はすべて本質的に「不条理」なお話です。そもそも「努力した人は報われる」というようなつまらない説話を、誰が好んで何世紀も語り伝えるものですか。物語の教訓は「この不条理な事実そのものをまるごと承認せよ」という命令のうちにこそあるのです。

聖書では、同じような供物を神に捧げたカインとアベルの二人の兄弟のうち、カインの貢ぎ物は主に拒まれ、アベルの供物だけ受け取られます。理由は不明。しかし、主の絶対的権威はまさにこの「理不尽な差別」によって説話的に基礎づけられることになるのです。


感想
今までの本で読んできた内田さんの思想の情報源がどこなのかってのが分かった。まあ、本人だってそれを公言してるんだし、だからどうだってわけでもないけど。僕が原著を読めるわけでもないし、こうして噛み砕いて教えてくれるのはありがたい。
構造主義の考え方は常識になった」って内田さんは言うけれど、常識って言うほど世間一般に了解されているとは思えないなあ。未だに少数派のような気がする。マスコミや言論人なんか、自分の意見でもって反対意見を封殺するって姿勢ばかり。なんの歩み寄りもない。頭で理解するのと感情とは違うもの、ってことなのかな。お人よしでは生き残れない、極端じゃないとキャラ立ちしないってか?そんな意見垂れ流しでは何も解決しない。いい加減方向修正してほしいもんだ。視聴者もそんなこと望んでいないと思うんだけど。それとも、自分の意見を代弁してくれる人を見られればそれで満足なのか?そこまで落ちぶれててほしくないなあ。僕なんか、対話によって自分の意見が変わるのって嬉しいけどな。今までの自分に無かった新しい知見が得られ、自分が成長できたってことなんだから。宗教についての考え方なんてのは、僕の中で本当に色々と変わってるし。
精神分析の話は面白い。初めて知った。そうだったのか、なるほどねえ。
絵本や説話の意義ってのも面白い。確かに、「この話は何が言いたいんだろう」ってのは多かったけど、そんな目的があったのか。でも、子どもの頃からそんな真理を植え込まれるってのも嫌なもんだ。体育座りは否定しておいて、こっちは否定しないのか?どっちも似たようなものだと思うけどな。