40歳アリリタ(早期退職)達成者のブログ

メインは書評(自分語り)。色々と経験する中で自分の生き方が固まり、2014/11/02の記事を集大成に方針確定。2020年3月末、40歳にてアリリタ達成!

街場の大阪論

街場の大阪論

街場の大阪論

「情報バラエティ番組」はスタジオの「空気感」そのものがすべてで、要するにその「場の空気」を誰かがつくり、お笑いタレントや時には文化人や大学の先生といったコメンテーターが、よってたかってその「場」とか「空気」とか「流れ」を読んでどんどん会話を転がしていくものである。そこでは「つかみ」とか「ノリ」、あるいは「笑いを取る」といったコミュニケーション技法が全面にあるだけで、彼らのメッセージの輪郭はなかなか見えてこない。ひょっとしてその話に中身なんてないのでは、というのは言い過ぎだろうが、「場の空気を読むことに、コミュニケーションのリソースを使い果たすようなコミュニケーション」に長けた人間、これをタレントとか言うのだろうと、納得することにしている。

「大阪粉もの文化」、みたいな言い方でそれらが語られる時の違和感は、「現実との接点はない」ことだ。つまり祭りや縁日のにぎわいや市場の匂いや歓楽街の入り口の明るさといった「現場」が何一つ感じられずに、タコの大きさがどんなでソースが塩マヨネーズでメリケン粉にダシが入ってるとかいう「それ自体」だけに焦点が当てられるという捉えられ方が、ひどく的外れなのである。


感想
「街場の」シリーズだからってことで図書館で予約していたんだけど、著者が内田樹さんじゃなかったんでびっくりした。まあでもせっかく借りたんで読んでみる。結果、なかなか面白かった。
「街」について色々論じているんだけど、正直敷居の高さを感じてしまったなあ。「地元に密着し、お互いによく知り合い、ルールや空気を熟知してこそ本当の意味で街を知れる・楽しめる」ってことだろ?生活者と消費者の違い。まあ言いたいことは分かるんだけどさ。だからと言って、今さら街に溶け込もうとかは思わなかったな。そこを重視しないというか。そういうのは、それに価値を見出す人がやっていればいいだろう。人にはそれぞれが持つ価値観があり、それに従って幸福になれる道を模索し、行動している。
まあ、人とのコミュニケーションがそれほど得意ではないってのが大きいんだけどね。そんなにネットワークを広げられないよ。多分、昔の人たちはこういう生き方が主流だったんだろう。僕にとっては今のほうが生き易いかな。当時に生きていたら、訓練されて馴染んでいたかもしれないけど。こういう生き方があるってのが垣間見れて楽しかった。