もうひとつの核なき世界
- 作者: 堤未果
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2010/11/29
- メディア: 単行本
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「核兵器というひとつの要素だけしかみなければ、きっと何か大きなものを見落とすでしょう。私は日本の被爆者の苦しみについては心から気の毒だと感じているので、日本人にとって核兵器廃絶が他の何よりも特別な意味を持っているだろうことは理解できます。でも、いま起こっている事実と、人間を動かしているものと、この両方をしっかりと目を開けて見続けることが大切です。決して、片目を閉じてしまわないように、どちらかひとつだけにのまれてしまわないように」
「どの国のやり方がいいということではなく、日本は安全保障についてどういった手段を使うのか。絶対正しいという100%の正解などありません。大切なのは正論を盾に議論を封じ込めてしまわないことです。それをしてしまったら戦前の悪夢を繰り返すことになる。激論を交わし続けるのです。失敗してもいい。国境を越えた理解に、負けなどないのですから」
感想
クーリエ・ジャポン2月号で堤さんの本が紹介されており、興味を持ったので読んでみた。ついでにもう一冊。ちょうど、2/5に米ロ間で戦略兵器削減条約(新START)が発効したこともあり、タイムリーな読書になった。
オバマ大統領は「核なき世界」を謳ったわけだけど、そこまで単純ではない、色々と思惑が交錯した複雑なものであることが分かった。本でも指摘されていたけれど、日本は核廃絶に向けて一面的な見方しか出来ていない、というのを感じた。反戦平和主義と同じものを感じる。現実を見ず、ただ単にイデオロギーに走ってしまうと何も解決しない。真の目的を見据え、そのためにどう行動したらいいのか冷静に見極める必要がある。そのためにも意見を出し合い、議論していかないと。
でも本当、考えるべきことってたくさんあるよな。それを一度に進めようとしたら何も始まらないから、やっぱり優先順位を定めることが必要になってくる。でも、その優先順位を決めるのがまた大変なわけで。結局、火を噴いた直近で片付けるべき問題に取り掛かることになってしまい、じっくり考えるべき最重要の問題が後回しになってしまう。政治でも仕事でも私生活でも、どれにでも言えることだよな。せめて自分に出来る範囲では何とかしていきたいなあ。