ニーチェ―すべてを思い切るために:力への意志
ニーチェ―すべてを思い切るために:力への意志 (入門・哲学者シリーズ 1)
- 作者: 貫成人
- 出版社/メーカー: 青灯社
- 発売日: 2007/10/03
- メディア: 単行本
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通常信じている価値や実体が虚妄だと言われても、なかなか納得できるものではないし、それどころか、うっかりそれに同意してしまうと日々の暮らしまでもが意味を失ってしまう。その恐怖を受け止め、乗り越える道筋を示すのが「永遠回帰」思想であり、「超人」思想なのである。
感想
僕には座右の銘が二つある。「この世に『絶対』なんて無い」っていうのと、「人は自分の見たいものしか見ない」っての。この言葉はどこかの本で見つけた言葉ではあったけど、僕のトラウマになるほどの実体験から身に染みて感じていた思想であり、この言葉に出会った時には大いに同意し、深く心に浸透していった。
最近、本屋でニーチェについての雑誌を立ち読みしていた時に似たような言葉が出てきた。ニーチェについては、超人思想や、それがナチスに利用されたことくらいは知っていた。でもそれ以上は知らなかった。その時初めて、僕が漠然と持っている思想を突き詰めて考えた人なんだ、ってことを知り、一気に引き込まれた。家に帰ってAmazonで検索し、評価の高いものを片っ端から予約していった。ニーチェの思想は複雑らしいからな。色々と読んで、ニーチェの思想を自分のものとしたい。
最初に読んだのが今回の本。ニーチェの思想を項目ごとに分かりやすく説明してくれている。おかげで、その全体像を掴むことはできたかな。道徳を否定するその論法はかなり面白い。「神は死んだ」っていう有名な言葉の意味を知れて嬉しい。
道徳が弱者の論理だってのは分かる。ただ、そこまで否定しなくてはいけないものか?強者よりも弱者の方が圧倒的に数が多い。道徳という歯止めがないと、最終的には一人の王と、それ以外の奴隷を生むことにならないか?オスマン帝国のように。それに、強者もいつまでもその地位にいられるとも限らない。全体幸福を考えれば、道徳は必要じゃないかと思うんだけどなあ。
あと、ニーチェは「価値相対主義」「真理の相対主義」を認めていないらしい。ならば「絶対」があるってこと?それは、ニーチェが否定していた「真理」を提示することにはならない?
まだまだ、僕はニーチェの思想を理解し切れていないみたいだな。まあ、さすがに今回の読書で一気に理解できるとは思ってなかったし。今後の読書でどんどん上塗りして理解を深めていこう。