40歳アリリタ(早期退職)達成者のブログ

メインは書評(自分語り)。色々と経験する中で自分の生き方が固まり、2014/11/02の記事を集大成に方針確定。2020年3月末、40歳にてアリリタ達成!

日本を賤しめる「日本嫌い」の日本人−いま恐れるべきはジパノフォビア−

世界経済がこれだけの動乱に陥っても、日本は対ドルで自国通貨が堅調なほとんど唯一の国です。日本がなぜ堅調を保っていられるのかといえば、平凡な結論ではありますが、世界の先進国でありながら製造業を手放さなかったことがいちばんの理由です。

核には戦争の危険性を遠のかせる力もあるのです。核があるから双方とも自制する。したがって戦争の抑止力になる。日本がアメリカと核をシェアしても別に地球の危険が増えることはありません。むしろ核の"空白"が無くなって安全性が高まる、という見方のほうが正しいというべきでしょう。


科学技術や人文地理的分野からの考察はむろん必要ですが、国民国家の発展・衰滅の土台はエトス(国民精神)の盛衰が基盤なのです。
スペインの一司教が言葉のかぎりを尽くして自国を罵るパンフレットを書いたために、十六世紀から五百年もたったいまでも東海の日本の教科書にスペイン人の悪逆非道が喧伝されることになってしまったのです。そして、「自信を喪失し自己嫌悪に苦しみ、自虐に親しみ、寂しく自国を嘲笑する国民」になってしまったのです。そうした国民には「衰滅しか道はありません」。


感想
なかなか面白い本だった。ただ、サブプライム問題とか、オバマ大統領の誕生についてとか、既に時期外れだなあ、と。日本の製造業の強さの一例として原発技術を挙げているんだけど、今となっては、ね。まあ、未来から過去の文章を評価するのは卑怯なんだけど。それにしても、この本は2009年に発刊されているんだけど、こういう時事問題ってのは本当にあっという間に後に流れていくよな。そして新しい問題が次々に発生する。時間の流れの早さを感じた。アメリカとの「核シェアリング」も提唱しているんだけど、やっぱり今後の日本人の核アレルギーはさらに酷いものになるのかなあ。

満州事変から終戦東京裁判について述べている部分では、いくつか面白そうな本が紹介されていたので、今後読んでいきたい。あと、小林よしのりさんの本で読んだことのある部分も多かったな。渡部さんのほうが先で、それを参照して小林さんは書いたわけだけど。最近は女系天皇問題なんかで両者は対立しているみたいだが、いろいろな点で共通点のある二人が、ある一点での立場の違いで袂を分かってしまうのはしまうのはもったいない。協働できる部分では力を合わせていってもらいたいもんだ。まあ、実際の関係がどうなっているのかは知らないんだけど。

この本のタイトルになっている、「日本嫌いの日本人」についての憂慮は、本当にその通りだと思う。過去栄華を誇ったスペイン帝国が衰滅したのは、中南米でのスペイン人の振る舞いを指弾したスペイン人司教と、それに乗って悪口を言い広めたイギリスとオランダのせいってのは、日本人としてしっかりと考える必要がある。それと瓜二つの状況が、今の日本には生じているんだから。朝日新聞が言い始め、それに乗った中国や韓国による中傷の数々。全ての日本人が飲み込まれているわけではないけれど、日本人が自信を失くしてきているのは確かだろう。今それを撥ね返しておかないと、既成事実として固まってしまい、スペインのようにいつまで経っても言われ続ける存在になってしまう。頑張っていきたいよな。もちろん、スペインとは背景が異なるんだし、全てが同じになるわけではないだろうけどさ。それに、どん底から這い上がる時の日本人の強さも信じている。3・11からだって。