40歳アリリタ(早期退職)達成者のブログ

メインは書評(自分語り)。色々と経験する中で自分の生き方が固まり、2014/11/02の記事を集大成に方針確定。2020年3月末、40歳にてアリリタ達成!

マインドコントロール−日本人を騙し続ける支配者の真実−

マインドコントロール 日本人を騙し続ける支配者の真実

マインドコントロール 日本人を騙し続ける支配者の真実

感想
まず最初に。読むのがめちゃくちゃ苦痛だった。ここまで読むのに抵抗があった本は、「罪と罰」以来だよ。何度途中で読むのをやめようと思ったことか。ただ、好意的な感想以外に、たまにはこういうのを載せるのもいいかなと思って。それに、何だかんだ色々と考えるきっかけにもなったし。

前々からマインドコントロールについては興味があって、一時期それ系統の本とか、心理学の本とかを読み漁ったことがある。この本が2009年に発売され、しかもAmazonでの評価がかなり高かったため、図書館で予約した本が届くのをとても楽しみにしていた。まあ、壮大に肩透かしを食らったわけだけど。言いたいことが色々とあるんで、今までとちょっとスタイルを変えて紹介していく。


天然の食物を食べることがいかに重要かが理解できる。もっとも、商業価値優先の農薬・化学肥料漬けの現行農業では、人間の腸に当たる土壌の有効微生物群が死滅し、野菜等自体にまともな栄養がないことも事実だ。日本の生活習慣病患者の増加曲線が、日本で食品として消費されてきた食品添加物の使用量と正比例する事実を、今さらながら認識しなければならない。

その「事実」、本当か?有機栽培された作物より、農薬を使って作った作物の方が、栄養が多かったって事例もあったそうだけど。もちろん、栄養の量だけじゃなくて、農薬が及ぼす害についても考慮しないといけないんだけど。それにしても、現行農業でつくられた野菜に「まともな栄養がない」とかって一般化しちゃいけないだろう。誇大広告すぎる。エビデンスを示せってんだ。こうやって大袈裟に言い立て恐怖を煽るやり方は、著者が批判する「マインドコントロール」の手法なんじゃないの?自身が身を持ってマインドコントロールの効果の高さを実証してるってか?
食品添加物生活習慣病についても、それは本当に関連しているのか?偽相関だったりはしないのか?証拠があるというなら、それを示すべきだろう。「事実」と言うのなら。

著者はどうやら「食品の裏側」って本を基にして食品添加物について述べているらしい。この本もAmazonでの評価は高いが、実際のところどうなんだ?もし真っ当な本だとしたら、本書に紹介されたのはいい迷惑だろうな。どんなことが書いてあるのか、読んで確かめてみないと。


日本における食の問題は、マインドコントロールフラクタル構造、つまり「一部であるとともに全体を代表する」構図だからだ。その意味でも食の問題が、新しく進化する精神文明のキーポイントであることがわかる。

これも、ある特殊事例を、全ての現象に当てはまるとする拡大解釈なんじゃないの?誰が、「フラクタル構造」であることを認めたの?著者が自分で言っているだけじゃないか。さも自明であるかのように言い立てて証明を割愛するのは、マインドコントロールの一手法なんじゃないの?


第二次世界大戦のドイツの収容所で約600万人ものユダヤ人がホロコーストという憂き目に遭ったが、その時に使われたのが、実は塩素ガスである。誤解を恐れずに言えば、私たちが普段使っている「密室」の風呂場は、ホロコーストに近い環境と言えなくもない。ただ室内の塩素ガス濃度が薄いだけの話である。

一応「誤解を恐れずに言えば」と釈明はしているが、両者が全く次元の異なる問題であることは明らかだろう。確かに、水道水に塩素を混ぜることには問題があるのかもしれない。でも、こんな言い方をしてしまったら、説得力が皆無になる。勇み足なんてもんじゃない。逆に信用を失うだけ。まあ、それはこの本全体に当てはまることだけどね。


江戸が人類史上、最初で最後の大自然園都市なら、その都市で育まれた芸術・文化はまさに人類史上最高の芸術の宝庫だった。歌舞伎、能、文楽人形浄瑠璃、陶磁器、和歌、俳諧、川柳、浮世絵、狩野派等の絵画、彫刻、伝統的木造建築物、武道、華道、香道、茶道、囲碁、将棋・・・枚挙に暇がない。これらのジャンルで、明治維新以降、新たに輩出したものがあるだろうか?これらに匹敵する芸術性の高いものがこれだけ集中した都市が、世界にあっただろうか?

いや、あるだろうよ。それに、それまでの積み重ねがあっての江戸時代だろうに。江戸の素晴らしさを称えるのはいいけど、代わりに他を貶めるなよ。こんなの、ただの懐古厨。


時代とともに社会が悪化している。その具体的な兆候が、歳月とともに増加する様々な犯罪、特に親殺しや子殺し等、動物世界にもない悲惨な事件である。江戸時代からの犯罪統計を取れば、戦後の幾何級数的な増加に唖然とするだろう。

そのエビデンスは?江戸時代は事件が発覚する件数自体が少なかっただけじゃないの?少なくとも、殺人・強盗といった凶悪犯罪の発生件数は戦後どんどん減少している。著者こそ、マスコミの印象操作にやられちゃってるんじゃないの?


最新の科学によると、人は死後、約35グラム軽くなることが証明されている。まさに死後、魂が抜けて本来の世界へ行くわけである。

魂の重さは35グラムなんだ?はあ。勘弁してくれよ。


ロスチャイルド家とかロックフェラー家の陰謀にしてもねえ。確かに、どの組織だって自身の成長を願い、周りに働きかけていくものだろう。そうした中で、彼らの思惑通りにぴったり嵌ったこともあっただろう。だとしても、彼らが全てを操っているがごとく認識するのは、誇大妄想ってものじゃないの?世界はそんなに単純なものじゃないだろう。未知が怖いからって、そんな適当な理由で納得して落ち着こうとするなよ。この本は、そういう方々の需要に応えるものだったってことなのかなあ。

以上。本当、トンデモ本だった。初めは怒り、そして苦痛、最後は笑い。Amazonでの高評価は、どっかの団体の組織票なのか?好評だったためか、第二弾まで発売されているし。僕の評価とのあまりの乖離に驚くばかり。まあ、こうやって人を貶めるものじゃないけどさ。そういうのは自重を心がけてきたけど、あまりの事態につい心の内が出ちゃったよ。

著者は、本に書くのは自分に関わりのあったオウム事件だけに留めておいたほうが良かったんじゃないの?専門知識もない領域に無理に広げ、自爆した感がある。「自衛隊」の人は純粋というか、猪突猛進というか、自分の思想をとことんまで突き詰めちゃう人が多いようなイメージがあるよね。戦中の陸軍みたく。僕の偏見かもしれないけど。