いたこニーチェ
- 作者: 適菜収
- 出版社/メーカー: 飛鳥新社
- 発売日: 2009/02/20
- メディア: 単行本
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真理は山ほど存在するが、「普遍的真理」は存在しない。要するに、誰にとっても真理になるようなものはありえないんだ。現実には「個別の真理」が存在するだけだ。解釈の数だけ真理は存在する。
高いところから見下ろした、抽象的で一般的な「真理」「道徳」など、どこにも存在しない。高貴な人間は、他人の価値基準に従うのではなく、「自分の真理」「自分の道徳」を、勝ち取っていくものなのだ。そこでは、世間との対立と犠牲を恐れずに、自分の判断に良心をもつことが必要とされる。
感想
ニーチェについての本、五冊目。この本は面白かったなあ!ベタな言い分だけど、やっぱり物語調にしてくれるとすんなり頭に入ってくるな。物語自体もなかなか面白かったし。まあ、今まで何冊もニーチェ本を読んできたし、新しく知った論点ってのは特になかったけど。頭の中をすっきり整理することはできたと思う。
「真理は女である、と仮定すれば、―どういうことになるか?すべての哲学者は、彼らが独断論者であったかぎり、この女をうまく理解できなかったのではないか」(「善悪の彼岸」より)
とすれば、真理とは何かを理解した僕には女性を理解できるのかなあ。っていうか、結局は無理か。普遍的真理なんて無いように、「女性とはこういうものだ!っていうものは無い」ってのが最終的に得られる結論なんだから。柔軟に対応することくらいは出来そうだけど。
「いまやわたしはひとりで行く、弟子たちよ!きみたちも去って、ひとり行け!わたしはそれを欲する。いまやわたしはきみたちに命令する。わたしを失い、きみたちみずからを見いだせ、と。」(「ツァラトゥストラ」より)
「人生を考えるヒント」の感想の中で、「ニーチェ自身もショーペンハウアーの言葉を自分なりに受け入れ、理解し、そこから跳躍して自身の思想を打ち立てた。ニーチェだって、自分がそういう対象になることを喜んで受け入れるだろう。」って書いたんだけど、ツァラトゥストラの文中にまさにそのまんまのことが書かれていてびっくりした。びっくりというか、ニーチェならそう言ってくれるだろうと思っていたので、「予想通り」ではあったんだけど。お墨付きをもらえたんで、堂々と僕の道を歩んでいくことにしよう。