源氏物語 巻3
- 作者: 瀬戸内寂聴
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/03/15
- メディア: 文庫
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「関屋」は最も短い帖の一つである。それでいて、絵巻物を見るような華やかで美しい場面となり、印象に残る。「源氏物語絵巻」の中にも、決まってこの場面は選ばれている。
感想
一月ぶりに続きを読んだ。こんなペースじゃ、読み終わるのはいつになることやら。最初の方は忘れていっちゃうよ。でも読んでみると、やっぱり良いな。
今回の本で面白かったのは、須磨で源氏が嵐に遭う場面。源氏は住吉神社に願掛けをする。そして、都に返り咲いた後、願ほどきのために盛大な行列で参詣に行く。まだ自然科学が発達しておらず、色々な自然現象に適切な説明を付けられなかったからこそ、神頼みや、それが叶ったことへの感謝を表すことが盛んになったんだろうな。そういう信心深さは日々の生き方にどんな影響を与えたんだろう。現代では未知のことが少なくなり、徒に怯えることも少なくなったわけだけど、そうなったことで失ったものもあるのかなあ。もちろん、原理が分かったからって怖さが変わらないものもあるんだけどね。
あと、明石の君との間に子供が生まれたことについて、「そんな子が生まれるくらいだから前世の因縁が浅いとも思われないけど・・・」って話す場面も興味深い。現世において縁が深くなったのは、前世でも縁が深かったから、っていう理解。こういう人生観は、当時の人々の生き方や人との接し方にどう影響したんだろう。やっぱり人との出会いを大切にするようになったのかなあ。
僕って、こういうことを考えるのが好きなんだよな。だいぶ話の枝葉の部分ではあるんだけど。もちろん、本筋の方も面白い。色んな切り口で楽しめるのが、名作の条件なんだろうな。次回も楽しみだ。