源氏物語 巻9
- 作者: 瀬戸内寂聴
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/09/14
- メディア: 文庫
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父宮のお亡くなりになった悲しさよりも、一段と亡き姉君が恋しく侘しくて、これから先どうしたら過して行けるかと、夜の明け日の暮れるのもわからないほど悲しみ、途方にくれていらっしゃいます。それでもこの世に生きる寿命は定められていますので、死にたくても死ねないのが、中の君には情けなくてならないのでした。
そんなに死にたければ自殺だってできるだろうに、そういう選択肢はないのかな。まさか知らないってことはないだろうし。この時代は仏教の影響が強そうだし、地獄に落ちるとか言われていたら、そんな手段は取れなかったんだろうな。敬虔なことで。まあ、どんな理由にしろ自殺なんてしないに越したことはないんだけど。
けれども薫の君をこんなふうに女々しいひねくれたお人柄のようにお伝えしますのはお気の毒でございます。そんなに、人より劣った至らない方を、帝がとりわけ熱心にお側に近づけて親しくなさる筈もないでしょうから、政治面でのお考えなどはすぐれていらっしゃるのだろうと、推測されるのです。
そうだったのか!みんな色恋のみに現を抜かしてるのかとばかり思ってたよ。ちょっと安心した。
中の君が、何かにつけて結婚しなければ良かったって後悔するんだけど、その描写が多すぎてちょっと辟易してくる。今更言ったってしょうがないんだから、もっと前向きに、どんと構えていろよなあ。ちょっと嘆きすぎだろ?でもその点は、男性だって女性につれなくされて、ねちねちと恨み言を言ったり、袖をしとどに濡らしたりしてるし、似たようなもんか。感情表現が豊かなのかね。