40歳アリリタ(早期退職)達成者のブログ

メインは書評(自分語り)。色々と経験する中で自分の生き方が固まり、2014/11/02の記事を集大成に方針確定。2020年3月末、40歳にてアリリタ達成!

きつねのはなし

きつねのはなし (新潮文庫)

きつねのはなし (新潮文庫)

「この街には大勢の人が住んでいて、そのほとんどすべての人は赤の他人だけれども、彼らの間に、僕には想像もつかないような神秘的な糸がたくさん張り巡らされているに違いない。もしその糸を辿っていくことができるなら、この街の中枢にある、とても暗くて神秘的な場所へ通じているような気がするんだ」


感想
森見さんの本、4冊目。今までの平和でのんびりした話とは打って変わって、ちょっとダーク系の話。そのギャップに驚いたが、たまにはこういうのも悪くないかな。結構幅の広い著者なんだね。
「きつねのはなし」「果実の中の龍」「魔」「水神」の4章仕立て。独立した章ってわけじゃなく、舞台設定やキーワードが被っている。と言っても、同じ時間軸・世界の話ではないみたい。事の発端は「水神」の章にあるみたいだけど、他の章でも舞台となっている館は、この章の中で立て壊されてしまうし。館の主人も入れ替わっているし。何か変な気分。この本のタイトル通り、まるで狐に化かされているような。訳が分からず、もやもやと消化不良。
まあでも、それこそが著者の狙いなんだろうね。ばっちりと嵌った。すっきりせず後味は悪いけど良作。今までにない感じの本で、新鮮だった。でも僕としては、前作までの雰囲気の方が好きだけどね。また他の著作も読んでいきたい。