- 作者: 司馬遼太郎
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2004/04/09
- メディア: 単行本
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兄の好古は、世界一ひ弱な日本騎兵を率いざるをえなかった。騎兵はかれによって養成された。かれは心魂をかたむけてコサックの研究をし、ついにそれを破る工夫を完成し、少将として出征し、満州の野において凄惨きわまりない騎兵戦を連闘しつつかろうじて敵をやぶった。
弟の真之は海軍に入った。かれはロシアの主力艦隊をやぶる工夫をかさね、その成案を得たとき、日本海軍はかれの能力を信頼し、東郷平八郎がひきいる連合艦隊の参謀にし、三笠に乗り組ませた。東郷の作戦はことごとくかれが樹てた。作戦だけでなく日本海海戦の序幕の名口上ともいうべき、「敵艦見ユトノ警報ニ接シ、総合艦隊ハ直ニ出動、之ヲ撃滅セントス。本日天気晴朗ナレドモ浪高シ」という電文の起草者でもあった。
俳句も短歌も子規によってよみがえらされたが、それまでの、とくに俳句は町の隠居のひまつぶし程度のもので、縁台の素人将棋とかわらない。
日本人ははじめて手に入れた「国家」と、戦争という国家最大の盛事に対し、ことごとくが無邪気な昂奮に心をおどらせていた。
感想
超有名な本なんだけど、実は今まで読んだことなかったんだよね。「モンテ・クリスト伯」を読み始めたばかりではあるんだけど、こっちも気になってたので。並行して読んでいこう。どうせ、他にも色々な本を間に挟むんだし。
正岡子規と、秋山好古・真之の3人が主人公。秋山兄弟については、どんな人物なのか全く知らない。このシリーズを読み終わる頃には詳しくなっているだろう。楽しみだ。「本日天気晴朗ナレドモ浪高シ」っていう口上を考えたのが秋山真之だと知って、驚いた。これは有名だもんなあ。この本の読者であれば知っているだろうし、その読者数は相当いるだろうし、ということは世間の常識だったってことだよな。ちょっと悔しい。これ以外にも、そういうのはありそうだ。早急に読んで追いつかないとな。
トルコ軍艦のエルトゥールル号(文中ではエルトグロール)が沈没した時、生存者を日本の軍艦でトルコに送り届けた。この話は別のところで聞いて知っていたけど、その軍艦に秋山真之も乗っていたことも知った。また一つ、知識が繋がった。嬉しいなあ。
日本がひたすら上昇していた時期の物語。気が重くならず、楽しく読んでいくことができそうだ。「永遠の0」もそうだけど、負け戦だと分かっている話を読んでいくのは、やっぱりちょっと抵抗があるというか、暗くなってしまうからな。また、明治維新後の日本人の日本観、戦争観なんかも読み取れそう。その後突き進むことになる太平洋戦争を理解するためにも、その前段を把握しておくことは必要だし。その点でも、今後読んでいくのが楽しみだ。