40歳アリリタ(早期退職)達成者のブログ

メインは書評(自分語り)。色々と経験する中で自分の生き方が固まり、2014/11/02の記事を集大成に方針確定。2020年3月末、40歳にてアリリタ達成!

下町ロケット

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殿村「なにか勘違いされてませんか、田村さん。こんな評価しかできない相手に、我々の特許を使っていただくわけにはいきません。そんな契約などなくても、我々は一向に困ることはありません。どうぞ、お引き取りください」


山崎「競合他社(ナカシマ工業)のエンジン部品とウチのを比較検討しているところです」
溝口「すばらしい。さすがナカシマ工業」
山崎「これも見てやってください」 そういって山崎はもうひとつのシリンダーを手渡す。
溝口「まあ、こんなもんだろうな。60点。最初のシリンダーとは研磨の水準が違う。それはこの写真を見ても明らかだけどね」
山崎「最初のシリンダーがウチの製品です。いま持っていらっしゃるシリンダーがナカシマ工業の製品なんです。60点のやつ」



感想
もう、本当にいい話だった!めちゃくちゃ感動的だった。本を読み始めてから、止め時なんて見つからず、途中で本を置いて寝るなんてことも考えられず、一気に読みきった。ここまで嵌ったのって、初めてなんじゃないかってくらい。テンポ良く、ストーリー展開も良く、最後は感動的。こうして改めて振り返ってみても、感極まってくる。


僕が曲がりなりにも開発者だってことも、関係しているのかな。ここまでの製品を開発できたら最高だろうなあ。チャンスはあるはずなんだよね。それなりの開発環境は整っているんだし、ある分野においては業界を開拓・リードしてきた実績だってあるんだし。そっち方面の能力にはあまり自分自身期待していない面もあったんだけど、そんな僕でも、ちょっと想像しちゃったよ。


会社とはなにか。なんのために働いているのか。誰のために生きているのか。主人公の佃は、物語の中でそんなことを突きつけられる。日々の仕事・生活でいっぱいになってしまいがちだけど、機会を設けてこういうこともしっかり考えていかないといけないよな。


それにしても、品質優位性があるってのは羨ましい。帝国重工による生産部門評価の場面は笑ってしまったし、帝国重工の役員会議でバルブテスト結果のグラフを示す場面は泣けてきた。なかなか他社との差別化を図るのは難しいんだけど、羨んでばかりいても仕方ないし、色々な部分の積み重ねでそれを勝ち取っていこう。製品開発についても、自分自身の人材価値についても。