40歳アリリタ(早期退職)達成者のブログ

メインは書評(自分語り)。色々と経験する中で自分の生き方が固まり、2014/11/02の記事を集大成に方針確定。2020年3月末、40歳にてアリリタ達成!

幸福の研究−ハーバード元学長が教える幸福な社会

幸福の研究―ハーバード元学長が教える幸福な社会

幸福の研究―ハーバード元学長が教える幸福な社会

どの程度生活に満足しているかを尋ねた調査を用いて、研究者たちは、六つの要因によって人々の幸福の違いの大半が説明できることを見出してきた。それは結婚、社会的関係、仕事、健康状態の認識、宗教、そして政治・行政の質である。


研究者たちは、人との付き合いや結びつきが何にもまして幸福に貢献すると結論づけてきた。親しい友人、とくに一番親しい友人は間違いなく大切である。組織や社会集団への参加も、幸せを高める源泉である。月に一回同好の集まりに出席するだけで、あるいは月に一回ボランティア活動に参加するだけで、所得が倍増するのと同じくらい幸福感を高めるとする研究もある。


幸福に関する最近の研究で興味深い一つの結論は、政府がどう機能しているか、また政府の業績について国民がどう考えているか、という点が人々の幸福に重要な関係があるというものである。政治・行政の質や国民の公職者に対する信頼と信用が、どれほど大きく幸福に貢献しているかを見出したことである。


メディアには、これまで述べたような歪んだ印象や誤りを正す責任があるのは明らかである。政府の実績について正確な情報を提供するためには、不正や失敗を成功や達成の記事とバランスをとって報道しなければならない。
スキャンダルや失敗についての話題は、勤勉な取り組みや立法上の地味な達成に関する冷静な報告よりも、読者や視聴者の関心を簡単に引きつけるだろう。徐々に読者や視聴者が減少していくという激しい競争の下で、メディアの経営者は汚職や愚劣な行為に力を入れて報道せざるを得ないと感じているかもしれない。もしそうだとしたら、メディア所有者が、否定的な報道は長期的には読者や視聴者の関心を実際に弱めるものだということを認識しなければ、メディアが、政府に対するバランスのとれた見方を提示する可能性は低いだろう。



感想
クーリエで紹介されていた本。1章の、これまでの幸福の研究についての要約の部分は、それなりに参考になった。
ただ、この本のメインは、国民の幸福を増進するための政府の取組みの提言。内容も確かめずに読んだのが悪いんだけど。一個人が出来ることを超えた内容だったため、ちょっと求めているものとは違ったな。もちろん、そういう取組みが重要なのはよく分かるんだけど。


でも、10章で扱われた、「国民の政府に対する見方が、人々の幸福に関係する」って話は面白かった。これは確かにその通り。政治家や官僚の負の面ばかりメディアは報じるけれど、本当にそればかりだったら、とっくにこの国は破綻しているわけで。メディアでは報じない大半の部分では、堅実な仕事をしてくれているんだよな。もちろん、様々な不備があるのは確かだし、僕も散々色々言っているんだけど。背景や立ち位置が異なれば、利害も対立するのも当たり前だしね。

メディアは、重箱の隅を突いてどうでもいいことで騒ぎすぎ。それに飽き飽きしている国民も多いだろうに、なんで未だにその状況が変わらないんだろう?本当にどうにかして欲しいよ。

そして、そういう負の面ばかり見せられて政府に対する信用を失い、そのために幸福の程度が低下するなんて。アホらしすぎる。別にメディアの統制をしろとまでは言わないけどさ。メディアの人間だって、国民の一人として、国民の幸福に寄与したいと思っていないのか?
まあ、営利を追求する企業にそんなこと言っても無駄か。でも、公共性の高い、国民への影響力の強い媒体なんだから、何かしらの制限・規制があったっていいと思う。
権利の最大行使が、そのまま幸福に繋がるわけではない。逆効果にもなり得る。不正や怠慢を暴くことで政府の対応の改善を要求するのも結構だけど、政府の成果や功績を伝えることで達成できることだってあるだろう。報道が偏りすぎ。この状況を打破するメディアは現れないのかなあ。ネットには、この点で期待できるのかなあ。今がその過渡期であることを祈るばかりだ。

まあ、こういうメディアに対する批判ってのも、負の面ばかりしか見ていない偏った言説なんだろうけどね。