40歳アリリタ(早期退職)達成者のブログ

メインは書評(自分語り)。色々と経験する中で自分の生き方が固まり、2014/11/02の記事を集大成に方針確定。2020年3月末、40歳にてアリリタ達成!

論語に学ぶ

論語に学ぶ (PHP文庫)

論語に学ぶ (PHP文庫)

子、四を絶つ。意毋く、必毋く、固毋く、我毋し
孔子は四つのことを絶たれた。私意・私心というものがなく、自分の考えで事を必する、即ち独断し専行することがなく、進歩的でかたくななところがなく、我を張らなかった。)
固・かたくなということは一番いけない。孔子もこの固ということを一番嫌ったようであります。


兎に角昔はよく泣いておる。天下国家を論じては泣き、書を読んでは泣いておる。ところが後世になるほど泣かなくなってしまった。そういう感激性がなくなってしまった。これは一面から言えば、民族精神の悲しむべき衰退に外ならない。卑屈な利害・打算、私利・私欲にのみ走って、最も人間らしい天下・国家、仁義・道徳、情緒・情操、感激性溢れる行動、そういったものを失った民族は衰退しておる証拠である。
感激性と言うか、男らしい情熱のある時は、必ずその国家・民族は勃興する。反対に無い時は衰退する。


(毎日同じような)生活を送っていたら、それこそ型にはまった人間になって、創造性とか弾力性とか、情熱とか叡智とか、というようなものがだんだん無くなってしまう。
そこで職業人・専門家になるほど、一面に於て人間的教養を豊かにすることを心掛けなければいけない。それにはやはり、全人的な教養を豊かに含む聖賢の書とか、古典とか、歴史哲学の書物とか、というようなものに親しむことが一番です。


善人というものは、内省的、含蓄的であるが故に刺激が少ないのに対して、悪性の方は非常に刺激が強い。薬でも、又毒性の強いものは刺激が強くて、一時的に効いたように思う。だが良薬は、咄嗟に効くものではない、長く服用する間に好い気持ちに効いて来る。
善人の男女は言わば良薬と同じで、長く連れ添う間にほのぼのと嬉しくなって来るが、眼前の刹那的な刺激がない。それに較べると、悪性の男女は刺激が実に強烈である。そこに引っかかるわけです。



感想
タイトルからして、論語の解説本なのかと思ったら、論語に引っ掛けて著者の考えを主張する本だった。求めていたものとはちょっと外れてしまったけれど、これはこれで面白かった。それにしても、哲学者とか思想家とかって人間は、色々と文句を言うもんだね。まあ、世の中に警鐘を鳴らすのが、彼らの役割なのかもしれないけどさ。


この本は、昭和47年とか57年とか、かなり昔に発表された内容をまとめたもの。でも、論語自体めちゃくちゃ古い本なわけで、こういう哲学・思想系の本ってのは年月に耐え得るものなんだなあと実感した。人間なんてそうそう変わるもんじゃないしね。
政治の堕落は、今に始まったことじゃないよな、とか、これ以後に経験する日本の停滞も、既にその芽・予兆は表われていたんだな、とか思ったり。


感激性の話は、確かにそうかもなあ。斜に構えた人間では、全力で物事に当たっている人間には叶わない。そういうのは実は、傷つくのを恐れ、停滞しているのを隠しているだけ。自分も含め、反省しないといけない部分だな。韓国なんかは感情を素直に表わすそうだけど、そういう差も、現状に影響しているのかも。


色々と興味深い主張も聞けて、勉強になった。今は使い捨ての薄っぺらい情報・知識が飛び交っている世の中だけれど、どうせ学ぶのならば、人生の指針となる、長く役に立つ、本当に意味のあるものを取り入れていきたいし、考えていきたい。