絶望の国の幸福な若者たち
- 作者: 古市憲寿
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/09/06
- メディア: 単行本
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内閣府の「国民生活に関する世論調査」によれば、2010年の時点で20代男子の65.9%、20代女子の75.2%が現在の生活に「満足」していると答えている。特に男の子に関しては、過去40年間で15%近くも満足度が上昇している。
もはや自分がこれ以上は幸せになると思えない時、人は「今の生活が幸せだ」と答えるしかない。つまり、人はもはや将来に希望を描けない時に「今は幸せだ」「今の生活が満足だ」と回答するというのだ。
若者たちが「今、ここ」にある「小さな世界」の中に生きているならば、いくら世の中で貧困が問題になろうと、世代間格差が深刻な問題であろうと、彼らの幸せには影響を及ぼさないことになる。彼らが自分たちの幸せを測る物差しにするのが、自分と同じ「小さな世界」に属する「仲間」だとすれば、「仲間」以外の世界がどんな状況になっていようと関係がない。
感想
「希望難民ご一行様」の著者である古市さんの本。暗いニュースが多い世の中、「今の若者たちは幸福である」っていう主張が面白くて、読んでみたかったんだよな。
でも結局それが、「将来より幸せになれると思えないから」だってのはなあ。まあ、よく分かる話ではあるけど。「幸福の計算式」でも見たように、人は周りとの比較において幸せを判断する。自分の周りの人だったり、過去や未来の自分とだったり。それで幸せを感じるのも何だかなあと思わないでもないけれど、常に今現在が幸せに感じられるのならば、それはそれでいいのかな。それも生きるための知恵か。上手く出来てるなあ。
自分自身、上を見すぎて不足感や不満足、不幸を感じるなんてアホらしいと思っているし、人のことは言えないな。
そんなふうに無力感を感じている人が多い中、社会的責任を感じ、起業したりして世の中を変えていこうと頑張ってくれている人たちがいるのは有難いことだ。著者はそれを生温かく見守っているそうだけど。自分ではやらずに相手に託すわけなんだから、応援しないとな。そうしないと、本当に落ちていくばかりになってしまう。
僕も結構な楽観主義者だけど、タダ乗りするだけの人間も快適に過ごせるような世の中は早晩終わるだろう。順次そこから追い出されていく。僕には世の中を変えるような熱意はないけれど、後悔しない程度の将来を獲得するための努力は続けていきたい。