40歳アリリタ(早期退職)達成者のブログ

メインは書評(自分語り)。色々と経験する中で自分の生き方が固まり、2014/11/02の記事を集大成に方針確定。2020年3月末、40歳にてアリリタ達成!

食の終焉−グローバル経済がもたらしたもうひとつの危機

食の終焉

食の終焉

未来のハイテク農民たちは、彼らの先祖たちとはまったく違った条件の下でより多くの人に食料を提供しなければならない。それは、彼らには先祖が享受していた、安価なエネルギーと有り余るほどの水、そして安定した気候という、農業にとって最も基本的な三つの前提条件がもはやそろっていないということだ。


低価格への執着は、品質と栄養価が低下した食品を次々と生み出したため、現代の食文化はお買い得感のある価格設定と分量のみに依存したものになってしまった。「農業はもはや生産や品質とはほとんど関係がありません。すべては価格を下げて、下げて、下げることに尽きます。ほかのことに関心を向けても一切無意味です」


牛肉1ポンドを得るために20ポンドの穀物が必要(鶏は4.5ポンド、豚は7.3ポンド)
今の食肉消費の増加傾向が逆転し、一人当たりの食肉消費量の世界平均が下がり始めない限り、仮に極めて生産性の高い混合飼育農場や養殖漁業の大幅な拡大に成功したり、ノーベル賞クラスの遺伝子組み換え飼料穀物の登場などのおかげで、私たちが今後持続可能なタンパク質生産を飛躍的に増加させることに成功したとしても、将来にわたってすべての食肉需要を満たすことはできないだろう。


現行のシステムが今後も惰性で続くことになった場合、そのシステムに、もし私たちが何らかの変更を加えることができるとすれば、それは私たちが食の未来のあるべき姿を見据えて様々な選択肢を慎重に検討した結果ではなく、これからシステム自身が引き起こすであろう数々の緊急事態への対処を繰り返した結果になる可能性が極めて高いだろう。



感想
日本農業への正しい絶望法」では、日本の農業の危機が描かれたが、本書は世界的な食の危機について説く。食を取り巻く世界の現状、問題について包括的に知れて面白かった。


「もっと多く、もっと安く」という消費者の要望に応えるために行われてきた様々な施策。かつては、食べるために大半の時間・お金を使ってきた。今では、それ以外の活動に多くを費やすことができる。本当にありがたいことだ。僕なんか、収入の5%も使ってないもんな。


ただ、今後の世界人口の急増、食の生産環境の悪化を考えると、そういう便利さもいつまで続くことか。そう遠い話でもなさそう。それを考えるに、食の全てを外国に依存するのは危険。国内の生産力を消滅させるわけにはいかない。まあ、そんなのは分かっていたことだけど。それも踏まえて、安定供給体制を構築しないとな。
と言いつつ、分かっていてもどうしようもないことは多い。本書にもあったように、問題に直面してから場当たり的に対応していくことになるんだろうなあ。