40歳アリリタ(早期退職)達成者のブログ

メインは書評(自分語り)。色々と経験する中で自分の生き方が固まり、2014/11/02の記事を集大成に方針確定。2020年3月末、40歳にてアリリタ達成!

現代語訳*学問のすすめ

学問のすすめ 現代語訳 (ちくま新書)

学問のすすめ 現代語訳 (ちくま新書)

いまの学生は、文明の遺産を受けて、まさしく進歩の最前線にいるのだから、その進むところに限界を作ってはいけない。われわれの仕事というのは、今日この世の中にいて、われわれの生きた証を残して、これを長く後世の子孫に伝えることにある。


人間の見識品格は、深遠な理論を議論して高まるものではないし、また広い知識を持つことだけで高まるものでもない。では、どうしたらいいのだろうか。その要点は、物事のようすを比較して、上を目指し、決して自己満足しないようにすることである。こちらの全体と、あちらの全体を並べて、それぞれのいいところと悪いところをあまさず見なくてはならない。


人生というものは、思いのほかに悪事をなし、思いのほかに愚かなことをやり、思いのほかに事を成さないものなのである。このような不都合を防ぐためには、事業の成否・損得について、ときどき自分の心の中でプラスマイナスの差し引き計算をしてみることである。普段から知性や人格、事業の帳簿を精密につけて、損失が出ないように心がけていなければならない。
「生まれていままで自分は何事をなしたか、いまは何事をなしているか、今後は何事をなすべきか」自分自身の有様を明らかにして、今後の方針を立てるものは、知性と徳と仕事の棚卸しなのだ。


物事を軽々しく信じてはいけないのならば、またこれを軽々しく疑うのもいけない。信じる、疑うということについては、取捨選択のための判断力が必要なのだ。学問というのは、この判断力を確立するためにあるのではないだろうか。西洋文明はもちろん慕うべきである。けれども、これを慕ってこれをまねて、いくら時間がないとはいえこれを軽々しく信じるよりは、信じない方がまだマシである。



感想
座右の古典」で紹介されていた本。本の題名と、「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」という言葉だけはこれまでに何度も聞いたことがあったけど、中身は一度も読んだことがなかった。今回こうして、ようやく機会を捉えて読むことができて良かった。


鎖国を解き、世界に開かれた明治の世において、世界に伍して戦っていくための心得を説いた書。なんだけど、今の世の中にもそのまま通用する。それだけ、人が生きる上での本質を述べているんだろうね。


当時と比べ、今は様々な情報が手に入れられるようになったし、ネットなんかでこうして手軽に主張することもできるようになった。国民が力を持ち、国民の意向によって選挙結果も大きく左右される。なんだけど、本当に自分で考え、行動している人の数は、それほど変わっていないようにも感じる。


進む道がはっきりしているのであれば、別にわざわざ口を挟む必要もなかった。明治の世も激動期ではあったけれど、西洋諸国という見習うべき対象があった。戦後にしてもそう。でも今は、そういうはっきりしたものが無い時代。自分の立ち位置を定め、行動しないことには、自分の望まない方向に進んでしまう。あるがままを受け入れるつもりならばいいんだけどさ。
まあ、僕にしたって何が出来るんだかって思いはある。だとしても、覚悟や備えくらいはできる。「知らなかった」なんて言い訳だけはしないようにしたい。