文明崩壊 上巻
- 作者: ジャレド・ダイアモンド,楡井浩一
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2005/12/21
- メディア: 単行本
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イースター島の石像と台座は、他に類のないものというわけではない。実際には、ポリネシア、なかでも東ポリネシアに多くの前例がある。それは、祭祀の場として利用されていたマラエと呼ばれる石壇で、たいていは上に聖堂を備え、広く普及していた。イースター島の建造物は、今も残るポリネシアの伝統から派生したものと言える。
イースター島とチャコ峡谷と同じように、マヤにおいても、人口が最大値に達したとたん、政治的かつ社会的な崩壊が起こっている。イースター島の首長たちも、マヤの王たちも、現実の重大な脅威を前にしながら、なんら能動的な打開策を講じなかった。
不適切な条件のもとで人々が最も頑迷にこだわる価値観というのは、過去に、逆境に対する最も偉大な勝利をもたらしたものでもあるのだ。
感想
著者の前著「銃・病原菌・鉄」はめちゃくちゃ面白かったため、その次回作はいつかは読まなくちゃ、とずっと思ってきた。最近、「2052」のような、未来はどうなるか、みたいな本を色々と読んでいることもあり、ようやく追っているテーマと重ねて読む機会を得ることが出来た。実に4年目にしての実現。長かったなあ。
イースター島、ノルウェー領グリーンランド等、過去に栄え、そして滅びてしまった様々な文明の、その崩壊の理由について迫る。相変わらずの文章量に、「事実をてんこ盛りにするのでなく、要点だけ教えてくれればいいんだけど」なんてチラッと思ってしまったり。イースター島についての記述は、かなり興味深く読むことができた。
崩壊を直前に控えた社会においては、生き残るための壮絶な競争が行なわれるんだろう。敗者に道は無い。現代が、勝者総取りの世界じゃなくて良かったよなあ。まあ、そういう世界だったら、今とは違う価値観を持って行動していただろうけどさ。それに、今後どうなるのかは分からない。いや、すぐそこまで迫っているってのが真実なんだろう。
これからの人類が進む道はどうなるのか、下巻でその辺りのヒントが得られるといいな。過去を教訓にして崩壊を回避すべく動くんだといいんだけど。それとも、人間性ってのはどの時代・地域でも変わらず、「2052」の著者が諦めるようにこのまま進んでいくのか。楽しみにして読んでみよう。