40歳アリリタ(早期退職)達成者のブログ

メインは書評(自分語り)。色々と経験する中で自分の生き方が固まり、2014/11/02の記事を集大成に方針確定。2020年3月末、40歳にてアリリタ達成!

反省させると犯罪者になります

反省させると犯罪者になります (新潮新書)

反省させると犯罪者になります (新潮新書)

自分が起こした問題行動が明るみに出たときに最初に思うことは、反省ではありません。たいていは「後悔」なのです。「後悔」と「反省」はまったく違います。悪いことをしてバレたときの人間の心理は、反省とはほど遠いのです。
もし容疑者が反省の言葉を述べたとしたら、疑わないといけません。多くの場合、自分の罪を軽くしたいという意識が働いているか、ただ上辺だけの表面的な「反省の言葉」を述べているにすぎません。


問題を抱えた人は、幼少期の頃から親に自分の言い分を聞いてもらえず、言いたいことを言おうものなら、すぐさま親から「甘えるな」「口答えするな」と反省させられ、否定的な感情を心のなかに深く抑圧していることです。したがって、否定的感情を外に出すことが、心の病を持った人の「回復する出発点」と考えるようになりました。


私は子どもの問題行動を歓迎しています。なぜなら問題行動とは、「自己表現」の一つだからです。「しんどさ」が表面化したと捉えることができるのです。「しんどさ」をキャッチして、反省させるのではなく、ケアする視点が必要です。


「我慢できること」「1人で頑張ること」「弱音を吐かないこと」「人に迷惑をかけないこと」といった価値観は、社会生活を送るうえでは必要なことです。
しかしこれらの価値観は、子どもに(大人にとっても)生き辛さを与える側面があることに気づいている人は少ないでしょう。「我慢できること」は、見方を変えれば、「自分の気持ちを出さないこと」になります。そうするとストレスがたまっていき、爆発(犯罪か心の病気)を引き起こすことになります。また、我慢をすることは、「人に頼らない態度」を身に付けることになり、他者との間に良い人間関係を築けなくなります。


自分の弱さもダメな部分も欠点も、すべてありのままの自然な姿を見せられる親は、親自身が「ありのままの自分」を受け入れている。「しっかりした親」は、「ありのままの自分」ではいけないというメッセージをたくさん持っている親なのです。



感想
HONZって書評サイトで紹介されているのを見て、面白そうだと思って読んでみた本。著者の主張にすごく納得できて、ためになった。また、自分にも返ってくる、考えさせられる内容だった。


すぐに反省の弁を述べる人間が、内心では全く反省していないってのは、よくあることだからな。それにも関わらず、反省の有無だけを判断材料にするってのはどうなんだろうね。見た目だけ取り繕ったって意味ないのに。結局、自分の思いを鎮めることだけが目的で、相手の更生なんてどうでもいいんだろう。
著者が刑務所内で活動しているように、受刑者と対話を重ね、その行動に至るまでの内面を探っていくようにしたら、解決の芽もあるんだろうけど。いかんせん時間がかかりすぎて、多くをカバーできない。今の社会全体に、そこに時間とお金をかける余裕は無い。多分、状況は悪化する一方だろうなあ。更生というよりも、「ルポ貧困大国アメリカ Ⅱ」で紹介されていた刑務所ビジネスの場になるほうが可能性が高そう。


そしてこの、「反省を求める」やり方は、子育てにおいても蔓延している。僕自身も、そういう教育を受けてきた。おかげで、「気持ちを外に出さない」、「人に頼らない」人間になっちゃったかな。悩みを人に話すことで楽になる、という感覚が分からない。経験があって適切な解を出してくれるならまだしも、ただ聴いてもらうだけじゃ意味が無い。特に共感や繋がりは求めていない。


こんな感じでも、別にストレスを抱えているわけでも、何らかの弊害があるわけでもないし、問題は無いんだけどさ。両親に対して含むところも無い。「きちんと育てなきゃ」って、すごく頑張ってくれたんだなあと、感謝している。自立心が強いのはいいことだ。特に、こんな不安定な世の中にあっては。


ただ思うのは、親の子どもに対する影響の強さ。親の何気ない行動、思想が、ダイレクトに子どもに響く。決して思い通りにすることが出来るわけではないけれど、親次第で子どもの生き方の多くが決まる。難しいよなあ。そんな責任、よく負えるよ。