40歳アリリタ(早期退職)達成者のブログ

メインは書評(自分語り)。色々と経験する中で自分の生き方が固まり、2014/11/02の記事を集大成に方針確定。2020年3月末、40歳にてアリリタ達成!

鏡の国のアリス

鏡の国のアリス (角川文庫)

鏡の国のアリス (角川文庫)

訳者あとがき
キャロルは『不思議の国のアリス』の出版から三年も経たないうちに、続編の『鏡の国のアリス』を書き始めていましたが、それは、もはや実在のアリスのためというより、自分の心の中にいる小さなアリスのためのものでした。『鏡の国』は思い出の世界、夢の世界の出来事なのです。
鏡の国のアリス』は、どんどん成長して自分から遠ざかっていくアリスを想いながらの執筆となったわけです。


一緒にボートにのって遊んでいたはずの可愛い少女アリスは、気づいてみればすっかり大きくなり−『鏡の国』ではアリスは少女から大人(女王)へと変貌してしまい、いつの間にかキャロルに別れを告げて、アリス自身の人生を歩み出そうとしているのです。



感想
不思議の国のアリス」の続編。
超有名な作品なんだけど、今まで一度も原作を読んだことがなかった。でも、これをモチーフにした作品は多数あり、そのおかげで登場キャラとか、最後のオチとか、断片的な知識は持っていた。正直、いまさら児童小説はなあ、と放置してたんだけど、実際どういう話なのかはずっと気になっており、一度通して読んでみたいと思っていた。
最近またこれをネタにした作品に触れる機会があり、その思いを新たにしていたところだったので、いつまでも小骨が喉に刺さった状態を続けるのもあれだなと、読んでみることにした。


なので、こうして読めただけで、話の内容はともかく一応満足。ストーリーとしては。まあ、ストーリーなんて無い話だよね。一言で言えば、ナンセンス。なるほど、こういう話だったのか。断片的な知識を繋ぐ統一的な流れがあるのかと思っていたら、そのまんま、原作も色んな素材のぶつ切りの集まりだったのか。だからこそ、色々とつまみ食いし易いとも言えるのかな。


この本を読んでいて一番面白かったのは、本編じゃなくて訳者あとがき。どういう経緯でこの話が作られたのかが明かされており、結構興味深かった。特に「鏡の国のアリス」は、著者のアリスへの想いをそのまま詰め込んだ作品なんだね。そういう純な心を持っているからこそ、児童文学を書けるんだろうな。


そうは言いながらも、本編もそれなりに楽しめた。何も分からない不条理さが、何だか心地よくなってくるというか。いつも成果・意味を求めつつ読書をしている僕なんで、普通だったら早々に投げ出しそうだけど。こういうのが楽しめる自分ってのが、我ながらちょっと不思議だった。まあ、たまにだからこそ、行けたんだろう。これが続くと発狂しちゃうだろうな。


とりあえずこれで、原作を押さえることが出来た。また機会を見つけて、昔から読み継がれている、ネタ元として素材を提供している、その他の古典文学を読んでいきたい。