コーラン 上
- 作者: 井筒俊彦
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1957/11/25
- メディア: 文庫
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(ユダヤ教徒、キリスト教徒に対する回教徒の態度は時期によって異なる。最初は両者に対する親愛と信頼。次いでユダヤ教徒に裏切られ、憎悪に転ずるがキリスト教徒は味方だと思っている。次にはユダヤ教徒もキリスト教徒もともに不倶戴天の敵となる)
解説
『コーラン』を面白く読み通して行くためには、『コーラン』に関するいくつかの予備知識を用意してかかればいいのである。『コーラン』は何時、何処で、そして特にどんな歴史的状況の下に生れたものか。その頃の砂漠のアラビア人はどんな世界像を抱いて生きていたか。『コーラン』の生みの親であるムハンマドとは一体どんな男であったのか。『コーラン』というこの書物はどんな経路で出来上がったのか。どんな点がユダヤ教、キリスト教の聖典と根本的に違っているのか、等々・・・
感想
思想・哲学に関心のある人間からしたら、イスラム教も外せないよね。その聖典たるコーランにも興味あったので、ようやく手に取ることが出来たって、感じかな。そんな期待を寄せつつ読んだ本だけど。なかなか読書が進まなかったなあ。まあ、内容よりも背景に関心のある人間だからね。
聖書はまだ、物語やら訓話やらで楽しく読める部分があったんだけど、コーランにはそういうのはあまりないみたい。同じコトを繰り返し繰り返し言っているようにも感じてしまったし。これ、整理してまとめたら、もっとすっきりと短くなるんじゃない?なんて不謹慎なことを考えてしまった。まあ、聖典にそんなことは許されないってのは分かってるんだけど。聖書という基礎知識は持っている分、それとの関連性で読んでいける部分も多かったけど、そういうのが無い人だったらさらに辛いだろうね。
あと、一神教にはお馴染みの、自分は絶対の真理を伝えているという、あの感じ。コーラン自体が神の奇跡の証だとか言ってそれで足れりとしているところとか、悪いことがあれば神に従わないせい、良いことがあれば神のおかげという、どうとでも言い訳できる論理とか。イスラム教に限らないんだけど、やっぱり、もやもやするものを感じてしまう。
とは言っても、世界中の多くの人が信仰しており、厳しい戒律に従っているのも事実だからね。どこに、人を惹きつけるものがあるのか。訳者が解説で言っているように、イスラム教についての背景となる知識をもっと得ていかないと、本当のところは分からないだろう。これ一冊で分かるほどお手軽なものではない。別にこれのみに注力するわけではないけれど、今後とも探っていきたい。