愛国・革命・民主−日本史から世界を考える
- 作者: 三谷博
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2013/08/10
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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逆に、大胆な改革を提案する場合は「古例」、遠くの例を持ち出して正当化しました。
王政復古の場合は、鎌倉幕府を飛び越し、摂関制度も否定する。律令制すら無視し、国家始源の神武創業を持ち出した。そうなると意外な結果が生まれることになりました。神武創業の始めにどんな政府があったか、誰も知らないからです。それが制度を立てる時に西洋化への可能性を開いた。もし律令に戻ろうと言ったら、古代日本の制度に縛られて、西洋的な改革は難しくなったでしょう。ところが、神武創業には制度が空白なので、天皇が中心に居さえすれば、西洋化をやっても構わないということになる。「復古」のスローガンが「開化」にすり替わる条件ができたのですね。
18世紀に啓蒙思想家がはっきりと「進歩」の主張を打ち出すまでは、ヨーロッパでも、過去の方が偉大だった、もし改革を企てるならば、過去の良き時代、理想の過去に戻らねばならないという発想が当然と考えられていたということです。
感想
日経ビジネスオンラインで、ライフネット生命の出口さんが月に一度、お勧め本を紹介している。本書はそこで紹介されていたものの一つ。面白そうだったので読んでみた。
著者は明治維新の専門家。ここら前後の話ってのはやっぱり面白いね。主だった事件について断片的に知っている程度の知識なんで、もっと体系立った、包括的な知識を手に入れたいもんだ。点の読書・知識では深みもないし、応用も利かないし。
今回の本に限らず、歴史本はもっと読んでいきたいと思ってるんだけど、なかなか実現していない。来年はもっと優先順位を考えていきたいなあ。でも、楽しみで読んでいる読書に、あんまりシステマチックなものを持ち込むのもどうかとも思ってたり。上手いやり方を考えていこう。