- 作者: 堤未果
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2013/06/28
- メディア: 新書
- この商品を含むブログ (47件) を見る
全米の自治体の9割が5年以内に破産すると言われる今のアメリカで、やがて力尽きた州は緊縮財政を迫られ、公的機能を切り売りせざるをえなくなるだろう。格差が拡大した社会において、公共サービスの民営化がもたらすものは、さらなる二極化と貧困の拡大だ。
80年代から加速した規制緩和と民営化、垂直統合、政府・企業間の回転ドア、ALEC(米国立法交流評議会)、そして市民連合判決(企業献金の上限撤廃)といった一連の動きが、アメリカを統治政治から金権政治へと変えていった。寡占化によって巨大化した多国籍企業は、立法府を買い、選挙を買い、マスメディアを買うことでさらに効率よくその規模を広げてゆく。
感想
「貧困大国アメリカ」シリーズの最終巻。相変わらずの衝撃度。食についての話とか、企業の支配構造についての話とか、既に把握している部分もあるんだけど。改めて、前途に対し暗澹とさせられるね。前著は3年前に読んだけど、貧富の差・1%対99%の差は広がるばかり。日本においても同じ状況は現れている。非正規雇用は拡大し、社会保障の抑制は進んでいくだろう。
一応エピローグにて、99%の側が対抗した例について紹介しているけれど。結局、相手に対して後手に回らざるを得ないんだよね。危機に直面しないことには団結できないから。それに、壊すよりも元に戻すほうがより労力がかかるものだし。
もちろん、それに甘んじて何もかもを諦めるべきではない。知ることは大事。でもそれに合わせて、他の自衛手段も構築しておかないと。とはいえ、あんまり防衛的にもなりたくない。前にも言ったけど、対抗するのではなく、ずらす道を模索したい。