2030年世界はこう変わる−アメリカ情報機関が分析した「17年後の未来」
2030年 世界はこう変わる アメリカ情報機関が分析した「17年後の未来」
- 作者: 米国国家情報会議,谷町真珠
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2013/04/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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①個人の力の拡大
②権力の拡散
③人口構成の変化
④食料・水・エネルギー問題の連鎖
構造的な変化ではないものの、国際社会の流れを大きく変えてしまうほどの力を秘めている6つの傾向
①危機を頻発する世界経済
②変化に乗り遅れる「国家の統治力」
③高まる「大国」衝突の可能性
④広がる地域紛争
⑤最新技術の影響力
今後の世界を大きく左右するのは、「情報技術(データ処理、ソーシャルネットワーク、スマートシティ)」「機械化と生産技術(ロボット、自動運転技術、3Dプリンター)」「資源管理技術(遺伝子組み換え食物、精密農業、水管理)」「医療技術(病気管理、能力強化技術)」の4分野です。
⑥変わる米国の役割
感想
米国国家情報会議が予測する2030年の世界。大統領選挙が行われる4年に1度資料が作られ、新大統領に渡される。これを参考に、大統領は政策を進めていく。そんな文書がこうして一般人にも読めるってのは面白いね。まあ、この文書に何らかの判断が含まれているわけではないし、別に問題はないんだろう。わりと無難な内容。ここに正解は無い。これをどう解釈するかによって、大きく認識や行動は変わってくるんだろう。
期間は違うけど、「2052」と比較しつつ、その違いを考えるのも面白い。「2052」では、今後人口の伸びは抑制され、2040年前後に81億人でピークになるとのことだけど、本書では2030年時点で既に83億人に達すると読む。本書通りだとより問題の多い世界になりそう。実際どうなることか。本書は、現状がこのまま続いたらどうなるか、って機械的に予測しているように感じたので、僕としては「2052」に軍配を上げたいところ。願望も含まれているけれど。
再生エネルギーへの期待度も大きく異なる。「2052」では、エネルギー全体の37%を占めると予想しているけれど、本書では2050年時点でもそんなに大きな存在にはならないと見る。これは、技術がそこまで進まないということではなく、従来のエネルギー源で十分に対処できるので、代替があまり進まないってことらしい。どちらにしろエネルギーが不足しないのであれば、まあいいのかな。
そのほか、未来を考える上で考慮すべき項目を知れたのは良かった。予測のための土台は作れた。ここをきちんと押さえておけば、今後の情勢の変化にも対応していける。まあ、地域紛争一つとっても、火種はあらゆるところに潜んでいるし、現時点での予測なんてすぐに大きく外れそうだけどさ。
日本についての指摘もある。日本の競争力・影響力が下がっていくのは分かっているけど、「最も不安な国・日本」とまで言われると、何だかなあ。競争力を失っても、それはそれで楽しくやっていけると思うんだけどな。まあ、それも人それぞれか。周りの空気に影響されず、自分を貫いていきたい。