2050 老人大国の現実―超高齢化・人口減少社会での社会システムデザインを考える
- 作者: 小笠原泰,渡辺智之
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2012/10/01
- メディア: 単行本
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労働生産性の伸び率をゼロとすると、日本の実質GDPは、2050年には、2010年の値よりも39%減少し、一人当たりGDPも19%減少するということになります。
2050年には、資産がなく、自己負担能力のない後期高齢者が、多数発生する可能性が高いのです。我々のシミュレーションでは、基礎的支出(約120万円)をまかなえない75歳以上の貧困高齢者が1000万人(75歳以上の約42%)以上になることが予測されます。これは、持ち家を所有していない貧困高齢者の人数で、持ち家などの不動産の所有者を含めると、1700万人(約72%)になります。
70歳以上の国民(2050年時点で3105万人)を対象に、3層構造からなる社会保障システム
レベル1:困窮層を対象とする最低保障制度 (1000万人の加入者を想定)
レベル2:公的年金に代わる、中間層を対象とする生活支援システム
レベル3:富裕層を対象とする、グローバル化に対応した新たな納税制度によるゆるい囲い込み
感想
世界的な視野での未来予測本はいくつか読んできたけど、日本にフォーカスした未来予測本は久しぶり。本書は、少子高齢化が招く悲惨な未来について警告し、そこに至らないための施策を提言する。
人口予測についてならば、前に「2100年、人口3分の1の日本」って本を読んだけど、当時の僕の認識はまだまだ甘いなあ。今の僕の認識も、さらなる未来から見れば、甘いんだろうな。とりあえず、年金は諦めよう。となるとリタイア時期は延びてしまうなあ。なんて言ってるところが、まだまだ甘いんだろうけど。
時経つうちに、日本の状況はさらに進展し、目を背けていられなくなる。「これ以上の現状維持は無理だ」と気付くのはいつになることか。それが、まだ修正の効く範囲内だといいんだけど。と言いつつも、難しいだろうな。やっぱり破綻は視野に入れておいたほうがいい。
「貧困大国アメリカ」の堤さんは「1%対99%」の構図を暴き出しているけれど。こういった格差社会は、受け容れざるを得ないと思う。国が相対的な存在になれば、捕捉しようとしても、外に逃げられてしまうだけ。それに、階層ごとのコミュニティに属していたほうが、「幸せ」は感じやすいんじゃない?比較対象も似たような状況なんだから。既に若者は、それを実践しているように思う。
全てを賄う「福祉国家」から、最低限度の「ナショナルミニマム国家」への転換って流れは不可避。そこに至る途上では、混乱や衝突も起きるかもな。そこで毟り取られないような防衛が必要だろう。日本は好きだけど、一時脱出の検討も必要かも。大袈裟かもしれないけど、最悪を想定しておくに越したことはないからね。
激動の世界も、楽しそうではある。そう言っていられるだけの立ち位置を確立していきたい。