フォーリン・アフェアーズ・リポート2012年9月10日発売号
- 作者: パトリック・チョバネック,アーロン・フリードバーグ,ラルフ・A・コッサ,田中伸男,ジョシュア・クランジック,ジョナサン・メイシー,ジリアン・テット,フォーリン・アフェアーズ・ジャパン,Foreign Affairs Japan
- 出版社/メーカー: フォーリン・アフェアーズ・ジャパン
- 発売日: 2012/09/10
- メディア: 雑誌
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最近のドイツ銀行のレポートによれば、2012年2月の日本の電力生産コストは、原子力発電所が稼動停止する前の平均的な月間コストと比べて19億ドルも高くなっている。
原子力発電所を再稼動できなければ、日本は毎年400-5—億ドルの資金を投入して石油や天然ガスを調達しなければならなくなる。これは、日本の経常黒字の半分が石油や天然ガスの輸入によって飲み込まれることを意味する。
「石炭資源をクリーンに使用するには」
IEAは、現在のトレンドが続けば、2030年までには、石炭は世界最大のエネルギー資源となると予測している。化石燃料の燃焼に伴う世界の二酸化炭素排出量の増大のほぼ半分は、アジアにおける石炭燃焼に派生するものになる。別の言い方をすれば、地球環境問題とは石炭問題なのだ。
地球温暖化に対処するもっとも見込みのある方法は、石炭燃焼に伴う二酸化炭素排出量を少なくすることだ。現在利用できる最善の技術を途上国のコールプラントに導入するだけで、年間数十億トンの二酸化炭素排出量を削減できる。さらに、現在研究中の先端技術(CCS技術、UCG技術)が実用化されれば、いずれ大気中にまったく二酸化炭素を排出せずに石炭を燃焼させられるようになる。こうした技術革新を成功させるには、多国間銀行が資金を途上国に提供し、各国政府が研究予算を与えて民間の技術革新を促す必要がある。