40歳アリリタ(早期退職)達成者のブログ

メインは書評(自分語り)。色々と経験する中で自分の生き方が固まり、2014/11/02の記事を集大成に方針確定。2020年3月末、40歳にてアリリタ達成!

図書館内乱

図書館内乱

図書館内乱

メディア良化法
報道の自由を振りかざしてゴシップ報道に走り、報道被害を多発させたメディアに司法機関が厳しい批判の姿勢を取りはじめたことが当時の情勢としてある。無軌道なメディアを律するためには自由の制限もやむを得ない、という論調がまかり通るようになった最初の土壌である。


図書館の中央集権主義
図書隊制度を整えたとはいえ地方行政機関と国家機関が争うのは財源の点であまりに不利だということ。地方と国家に立場が分かれているとはいえ、同じ社会の中で公的機関同士が争う図式が歪んでいるということ。法務省組織であるメディア良化委員会に対抗し、図書館も文科省由来組織に昇格させて省庁間で検閲権の執行範囲を争うべきだというのが慧の主張であった。


郁「・・・何十年かしたら検閲がなくなるから、それまで検閲を我慢してろって、あたしは他の人に言えない。読みたいのは今なんだもの。何十年か後の自由のために今ある自由を捨てろとか言えない。もっといい未来のために今我慢できる人もいるかもしれないけど、だから全員に我慢しろって言うのは違うし、今持っている自由を捨てたくない人を責めるのも違うと思う」


感想
柴崎と朝比奈を巡る女性間の駆け引き・攻防。凄いね。こういうのは恋愛に限らず、なんだろうけど。こんなのに対抗できないよ。こっちとしては、小手先のテクニックなんか弄さず、ストレートに行くべきだな。駆け引きとか面倒臭いし。誠実に、穏やかに行きたいよね。
メディア良化法が成立した背景について。確かにマスコミのゴシップ報道は見苦しいからな。ああいうのがなくなるなら、規制も悪くない。でもそうやって自分に関心がないものを放置していたら、相手はどんどん増殖し、やがて自分の関心事まで狩られてしまう。こういうのは色んなことに当てはまるよな。最初の時点で封じないといけない。自分に関心がないものでも、もっと言えば、たとえ不愉快に思っていることであっても、不当に権利が侵害されているならば、その状況を認めてはならない。
図書館の中央集権主義について。僕はこの人たちの主張のほうが正当だと思うんだけど。図書隊は、どんな理論武装によってそれに反論できるんだろう。結局、一度得た権力や特権は手放し難いってこと?なんか現実を突きつけられたような感じだなあ。
郁の言い分も分かる。でも、それが正しいとは限らないし、許されるとも限らない。「相手が間違っているからこっちも」というのは違う。いや、良化特務機関も図書隊も、両者とも正当に認められた存在なんだけどさ。なんかモヤモヤする。
郁が、憧れの王子様の正体を知る。二人が今度どうなっていくのか楽しみだ。


調べてみたら、この本ってアニメ化されてるんだね。2008年だから3年も前に。全く知らなかった。今度チェックしてみようっと。本を読むだけでも想像が膨らむけど、やっぱり絵と声の力は大きいからな。