友情
- 作者: 武者小路実篤
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1947/12/29
- メディア: 文庫
- 購入: 3人 クリック: 90回
- この商品を含むブログ (88件) を見る
「あんまり恋し過ぎると云うことは弱点だ。なんだか独立性がなくなったようで、魂を何かにあずけているような不安を感じる。僕は恋をしていない君をむしろ羨ましく思う」
「それは本音かね。僕はそんなにまで一人を愛することが出来る君を羨ましく思うよ」
「今は人類が、立ちあがらなければならない時だ。自分達精神的に働くものは真剣にならなければならない時だ。皆若くって真剣だ。そして一つ目的、人類の為につくしたがっている。」
感想
文学少女の第3巻「“文学少女”と繋がれた愚者」の題材となっていた本。文学少女がすごく良かったんで、原典のほうも読んでみたくなったんだよね。こういうのをきっかけに読書対象を広げていけたら面白い。まあ、筋は文学少女で明かされていたんで、それをなぞる感じになってしまったけど。
恋愛と友情の板ばさみ。まさに青春の悩みだね。僕にはそういうのは無かったけれど。もし経験していたら、一生の財産になったのかなあ。まあ、こういうのは物語で読んでいるほうが後腐れがなくていいんだろう。ということにしておこう。
それと、登場人物たちの高い志。世界的な仕事をする、とか、人類の為に尽くす、とか。これもまた眩しいね。当時はまだ未開拓な部分が多く、やれることも多かったんだろう。それに、制約が多かったからこそ、そこから飛び出すための情熱もより大きかったのかも。
もちろん、現代でもやれることはいくらでもあるんだろうけど。でも基本的なものは整っており、これ以上求めるのも何だかな、という思いもあるんだよな。
僕としては、そういう人たちの努力によって得られた成果をじっくり味わうことにしよう。