斜陽 人間失格 桜桃 走れメロス 外七篇
- 作者: 太宰治
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2000/10/01
- メディア: 文庫
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堅実な生活人、着実な生活設計は、太宰治からは縁遠いものであった。
太宰は酒を飲まずにはいられなかった。飲まずにはいられない苦しさに、身をさいなまれていた。何故の苦しさか。その問いには、太宰の全文学が答えているはずである。
感想
本書に収められている「人間失格」は、文学少女の第1巻「“文学少女”と死にたがりの道化」の題材となっていた本。太宰作品は教科書に載っていた「走れメロス」しか読んだことがなかったので、ようやく読むことが出来たという満足感がある。ただ、結論として、太宰作品は僕には合わないなあ、と。
人には誰しも弱さがあり、そこが太宰作品と共鳴し惹かれる部分となるんだろう。もちろん、僕にだって弱さは存在する。でも、そこに安住し、何もしないで悲しんでいるばかり、落ちていくばかりなのに苛々させられてしまう。性質・気質としてどうしようもないこともあるだろうけど、ならば考えても仕方ないことなんだから、割り切って自由に行動して欲しいんだよね。いつまでも囚われているのではなく。世の中には「これしかない」「これでなくてはいけない」なんて絶対は無いんだから、いくらだって躱せるだろうに。
なのにそこに留まっているってのは、結局その状態が実は心地いいからだろう。人は、自分の望むように生きている。まあ、こう言い切ってしまうのは、語弊があるかもしれないけど。
こんなふうに考えてしまう僕は、多分本当の意味での絶望や行き詰まりをまだ知らないんだろう。現実主義的な性格の助けもある。真正面から向き合っていない部分もあるんだろう。ただ、何でもかんでも受け止めるのが正しいとは思わないし、それで絶望して行き着くところまで行ってしまうことほど馬鹿らしいことはないと思う。そんな繊細さは要らない。
行動しても何も変わらず、動くことすら出来ないほどの絶望・閉塞感。そういうのが本当にあるとしたら、それは哀れとしか言いようがないな。同情はするけど、共感はしたくない。
共感できないのもまた、人の弱さかも。まあ、僕はこういう自分を受け入れたんでね。