バガヴァッド・ギーター
- 作者: 上村勝彦
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1992/03/16
- メディア: 文庫
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外界との接触に執心せず、自己のうちに幸福を見出し、ブラフマンのヨーガに専心し、彼は不滅の幸福を得る。(5.21)
実に、接触から生ずる諸々の享楽は、苦を生むものにすぎず、始めと終りのあるものである。知者はそれらにおいて楽しまない。(5.22)
慢心と迷妄がなく、執着の害を克服し、常に自己に関することに専念し、欲望から離れ、苦楽という相対から解放され、迷わない人々は、かの不滅の境地に達する。(15.5)
バガヴァッド・ギーターの世界―ヒンドゥー教の救済 (NHKライブラリー)
- 作者: 上村勝彦
- 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
- 発売日: 1998/01
- メディア: 単行本
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『ギーター』は、大叙事詩『マハーバーラタ』第六巻に入っています。この叙事詩はカーラ(時間、運命など)に支配される人間存在の空しさを説いています。しかし、作中の人物たちは、無常な人生を送る中で、自らに課せられた過酷な運命に耐え、激しい情熱と強い意志をもって、自己の義務を遂行していきます。この世に生まれたからには、自分に定められた行為に専心すること、これこそ『ギーター』の強調するところでもあります。
絶対者すなわち最高神がすべてに遍満し、個々のもののうちにも入り込んでいるという考え方。言いかえれば、我々個々人のうちに神の性質があるということです。この考え方が、ある時期に、直接的間接的に大乗仏教に強い影響を与え、その結果生まれたのが如来蔵思想であるということができます。すべての人に如来たる可能性がある、すべての人に仏性がある、とする考え方です。それが仏教を通じて日本に入り、我々がそのまま仏である、真如であるとする、天台宗を中心とする本覚思想へと展開し、日本の宗教文化、さらには日本人一般のものの考え方に大きな影響を与えたのです。
感想
「座右の古典」で紹介されていた本。前にイスラム教の聖典である「コーラン」を読んだけど、今回のはヒンドゥー教の聖典。日本仏教との繋がりも学べたし、なかなか面白かった。この調子で、他の宗教の聖典を色々読んでいくのも良いかもな。様々な人の思いや歴史が詰まった本なわけだし。それに入り込もうって気はなく、つまみ食いの域は出ないわけだけど。
執着しないとか、自己に充足するとか、結構僕の性向とも合ってるかも。もちろん大前提として、絶対者を認めるとか、それに帰依するってのが抜けているわけだから、絶対に解脱には至れないんだけど。
というか、そもそも費用対効果を重視し、結果をこそ求めるのがリタイア志向者の道のようにも思うし、『ギーター』の教えとは全然違うか。リタイアした暁には、その境地に至れるかもね。まあ今でも、出来る限り穏やかな生活をしたいものだ。