森の生活
- 作者: H.D.ソロー,Henry David Thoreau,飯田実
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1995/09/18
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たいていのひとは、単なる無知と誤解から、しなくてもいい心配や余計な重労働にわずらわされて、人生のすばらしい果実を摘み取ることができないでいる。働きづめの人間は、毎日を心から誠実に生きる暇などもたない。
贅沢品とか、生活の慰みと呼ばれているものの多くは、単に不必要であるばかりか、かえって人類の向上をさまたげている。
われわれの人生は瑣末な問題にかまけて浪費されている。なにごとも簡素に、簡素に、簡素に、と心がけるべきだ。
余分な富をもてば、余分なものが手にはいるだけである。魂の必需品を購うのに金はいらない。
迷子になってはじめて、つまりこの世界を見失ってはじめて、われわれは自己を発見しはじめるのであり、また、われわれの置かれた位置や、われわれと世界との関係の無限のひろがりを認識するようにもなるのである。
私は、森にはいったときとおなじように、それ相応の理由があって森を去った。おそらく、私にはまだ生きてみなくてはならない人生がいくつもあり、森の生活だけにあれ以上の時間を割くわけにはいかないと感じられたからであろう。われわれはそうとは知らぬ間に、いともたやすく一本のきまった道を歩くようになり、自分の道を踏みかためてしまう。世界の幹線道路はさぞかしすり減ってほこりだらけとなり、伝統や習俗には深い轍が刻まれていることだろう!
感想
「座右の古典」で紹介されていた本。森に小屋を建て、自給自足の生活を始めた著者。前に読んだ「Bライフ−10万円で家を建てて生活する」を思い出しながら読んだ。著者の思想にしても、アリリタ志向者のものとかなり近しい。いつの時代、場所においても、同じようなことをする人達はいるんだなあ。これもまた人の普遍的な感性、なんだろうね。これに共感し、読み継がれてきたからこそ、古典として残ってるんだろうから。
なのに、それを実現できるのは少数派。世間の繋がり・関係性に絡め取られ、気付いた時には身動きできなくなっている。道を変えるには強い信念が要る。道連れがいるとしたら、その難易度はさらに何倍にも跳ね上がる。幸い僕の環境は整っているんだから、是非とも実現させてやろう。
著者が求めたように、決まりきった機械的な道を歩むのではなく、様々な人生を生き、色々な経験を積んでいきたいもんだ。