40歳アリリタ(早期退職)達成者のブログ

メインは書評(自分語り)。色々と経験する中で自分の生き方が固まり、2014/11/02の記事を集大成に方針確定。2020年3月末、40歳にてアリリタ達成!

自助論

人間は、読書ではなく労働によって自己を完成させる。つまり、人間を向上させるのは文学ではなく生活であり、学問ではなく行動であり、そして伝記ではなくその人の人間性なのである。
人間の優劣は、その人がどれだけ精一杯努力してきたかで決まる。骨身を惜しまず学び働く以外に、自分をみがき、知性を向上させ、ビジネスに成功する道はない。


時間は、学ぶべき価値のある知識を吸収し、すぐれた信念を養い、よい習慣をしっかり身につけるために使われるべきである。実りのない生活を続けて時間を浪費するなど断じて許されない。


金を倹約して使うというのは、すぐれた人格者の基礎となる資質−すなわち分別や先見性や克己心を備えている証拠だ。衣食や生活上の満足はもとより、自尊心や自立心など人間に有意義なものを与えてくれるのは、やはり金の力なのだ。貯蓄によってわれわれは生活の足場を固められるし、暮らし向きが好転するまで希望を失わず快活に生きていける。節約とは、自助の精神の最高の表現に他ならない。


わずかな知識でも、それが正確かつ完璧なものであれば、上っつらの博識より現実的な目的にははるかに役立つ。人間は、勉強量や読んだ本の冊数で賢くなるのではない。勉強法が自分の追求する目的に適しているか、一心不乱に勉強に取り組んでいるか、勤勉が習慣となっているか−このような点こそが問題なのである。
頭に断片的な知識を詰めこむことはできても、精神を豊かにするには至らない。当座の間は精神を刺激し、知的喜びを与えたとしても、楽しみ以上の高い目標を植えつけはしないから、結局は無益な気晴らしに終わる。
「おもしろ半分の乱読は、煙草と同じように精神の力を衰弱させ、人を無気力に陥れる。それは怠惰の中でも最悪のものであり、人間を完全に去勢してしまう」
着実な努力を嫌うようになり、精神力の低下と衰弱が進む。



感想
座右の古典」で紹介されていた本。150年以上前に書かれた本だけど、現代でもそのまま通用する自己啓発本。いつの時代でも人はこういうものを求めているんだなあ、と思ってしまった。我ながら、かなり擦れた思考だけど。
提言されている点で自分に足りないことは多かったけど、相変わらずお金の項だけはかなりの水準にあるなと、我ながら思う。読書の弊害についての指摘はよく心に留めておこう。


勤勉・努力は確かに必要だろうけど、その前に一歩引いて、どの方向に努力するのか、努力の果てに得られる成功・成果は何なのか、ってところから考えていきたいよな。努力の例としてミケランジェロも出てくるんだけど、彼の生き方そのものが、それを促しているように思う。
まあ、「われわれは、自分が『いかにあるべきか』、そして『何をなすべきか』を自分自身で選び取る必要がある。」とも言っているんだけどさ。


著者は、「人生の最高の目的は、人格を強く鍛えあげ、可能な限り心身を発展向上させていくこと」だと言う。ここが一致していなければ、著者と僕の結論が異なるものになるのは当然だよな。僕は人格の完成なんて求めていないしね。それが幸福に繋がると思える人は目指せばいいけど、単に手段の一つだろう。まあ、多くの人に訴えるにあたっては普遍的で間違いのない提言だとは思うけど。


とは言いつつ。人は、自分が求める提言を受け入れ、求めていない提言には反発する。自説を強化するだけの読書にそれほどの意味は無いと思うし、抵抗を感じるもののほうが触れる価値がある。得てして、そこに自分が避けている・逃げている現実があるものだし。それをしっかりと認める勇気は常に持っておきたいものだ。分かっていてなお、ならば、それは自分の選択だからね。それに、反発を感じるもののほうが、より多く考えるきっかけになるし。