脳のなかの幽霊
- 作者: V・S・ラマチャンドラン,サンドラ・ブレイクスリー,山下 篤子
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2011/03/25
- メディア: 文庫
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この方法は、子どもや配偶者に対して感じる共感や愛など、とらえどころのない真理現象を理解する手がかりになる可能性もある。もしあなたがだれかを深く愛していたら、本当にその人の一部になるという可能性がないだろうか?ひょっとすると(体だけでなく)魂もからみあうようになるのではないか。
左脳が実際にとっている方法は、異常をまったく無視するか、もしくはそれをねじ曲げてすでにある枠組みのなかに無理に押し込んで、安定を保つというやり方だ。私はこれが、フロイト的な防衛と呼ばれるものすべて−否認や抑圧や作話や、その他の日常生活を支配する自己欺瞞−の背後にある本質的な原理であると思う。脳が方向性のない優柔不断に追い込まれるのを防止しているのだ。その報いは自分自身に「嘘をつく」ことだが、システム全体の一貫性と安定性を得るためにはわずかな代償である。
これに対して右脳の戦略は、現状に疑問をなげかけ、全体的な不整合をさがす。矛盾を検出する。
感想
かなり面白い内容だった。人間の感覚というのは容易に嘘をつく。厳密な仕組みでは人体の運用は上手くいかず、曖昧さ、代替性がそれを担保してるってことなんだろう。そうした隙間に、意図しない不具合は起こりうる。本当、よく出来たシステムだよなあ、人間の身体って。感嘆する。
全体的には素晴らしいけれど、そうした不具合も起こりうるってことをちゃんと頭においておいて、判断を下していきたいよな。知覚は比較によって成り立っているという説明。世の中を手っ取り早く把握するためには有用なシステムなんだろう。でも、そればっかりに流されていては生き辛くなることもある。意識してバランスを取り、より良い生き方をしたいものだ。
特に面白かったのは、右脳と左脳の役割の違い。左脳は安定を志向し、右脳は現実・真実を志向する。左脳は、それが事実であろうと無かろうと、不具合が生じないことを第一に考える。右脳はそれに注意を投げかける。本当にこの教えは正しいのか?本当に定年まで働き続ける必要があるのか?
僕は、完全なる右脳志向だな。やっぱり左利きってのが効いてるのかねえ。そういう自分に満足しているので、これからも突き進んでいきたい。