ビッグバン宇宙論 下
- 作者: サイモン・シン,青木薫
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/06/22
- メディア: 単行本
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⇒ライバル仮説であった定常宇宙モデルを主張していたフレッド・ホイルが、ラジオ放送の中で作り出した。それまでこの理論は一般に「力学進化モデル」として知られていた。
感想
相変わらず、知的好奇心をばんばん刺激される本だった。ビッグバンモデルのライバル仮説の定常宇宙モデルの存在。当初は後者が優勢だったにも関わらず、ビッグバンモデルが予想した事実が「ピタリ!」と嵌っていき、反証が覆され。宇宙の真の姿が確実に証明されていく、この興奮!
上巻で書いたように、「観測技術が発展したからこその発見」ってことで、人の知性の貢献を少なく感じていたけど。そういうあやふやな状態においてなお、仮説に仮説を、論理に論理を重ねて事実を暴いていく人の姿には、より圧倒される思いだ。
ビッグバンという結論だけは知っていたけど、そこに至る歴史、その積み重ねをこうして知ることができて本当によかった。やっぱり読書っていいよな!こうして得た知識の大半は、やっぱり時間の経過と共に忘れてしまうわけだけど。でも読書中に得られる感動って、他では得難い感情だ。読書でしか得られないもの。
他のどんな娯楽にしたって、強い感情が得られるのはその場限りのことなわけで。記憶に定着しないからと敬遠するのならば、その他の活動に対してだって同じこと。やがて、何もせずボーっと過ごすだけの存在となってしまう。その場限りの感情を積み重ねていくことが、人生を生きること、なのかな。今更の結論だけど。
というわけで、そのうち忘れるからと諦めるのでなく、その場の思いを大事に掬い、その機会をたくさん捉えるようにしていきたい。