40歳アリリタ(早期退職)達成者のブログ

メインは書評(自分語り)。色々と経験する中で自分の生き方が固まり、2014/11/02の記事を集大成に方針確定。2020年3月末、40歳にてアリリタ達成!

日本人のための宗教原論

日本人のための宗教原論―あなたを宗教はどう助けてくれるのか

日本人のための宗教原論―あなたを宗教はどう助けてくれるのか

キリスト教では、罪が死の原因である。これとまさに対蹠的に、仏教では罪が生の原因である。
キリスト教の救いは生である。救われたものは「神の国」で永遠の生命を得る。救われなかった者は、永遠の死である。それに対し、仏教の救いは「死んで無になる」という永遠の死である。死に変わり生まれ変わる六道のどこにもない、涅槃に入ることなのである。


キリスト教のキーワードは「予定説」、仏教のキーワードは「空」、イスラム教のキーワードは「コーラン」、儒教のキーワードは「官僚制度」である。


仏教の「空」という論理は、すべてが仮説であり、すべては関係であって、実在するものは何もない、というものである。
ひきよせて むすべば柴の 庵にて とくればもとの 野はらなりけり   慈円
この歌は、明快に「空」を説明している。庵は、あるのか、ないのか。柴を結べば庵はある。結び目を解けば庵はない。したがって、庵は、あるともいえるし、ないともいえる。それと同時に、おあるともいえないし、ないともいえない。庵の存在、有無は、「結び」にかかっている。結べば庵はあるし、結ぶまではなかった。結びを解けば、庵はなくなる。これぞ、空である。


官僚制がまともに動くための条件の一つとして必要不可欠なものは、カウンターバランスシステムである。中国には、科挙の官僚制と宦官の官僚制の二つが存在し、その二つが相互にチェックス・アンド・バランシズをしあっていた。これが、中国の官僚制が長く存続した大きな理由である。
ところが日本では全部が同じような官僚組織だから、行政も、企業も、学校もみんな同じように腐朽して、どれもが機能しなくなった。



感想
日本人のための憲法原論」が面白かったので、この本も読んでみた。キリスト教、仏教、イスラム教、儒教について、根本のところを分かりやすく説明する。


この本でも、色々なことが知れて楽しかった。キリスト教についてはそれなりに理解していたつもりだったんだけど、東方のキリスト教原罪思想が無いってのは知らなかった。まあ、色々な宗派があるわけだからね。細かい違いに拘るつもりはないけど、東方・西方の違いくらいについては知っておかなくちゃな。その前に、イスラム教とか儒教についてももっと知っていきたい。


別に嵌るつもりはないけれど、知識として宗教を知ることに抵抗が無い、むしろそれを楽しめるってのは、僕という人間の強み・差別化要素になる。今後、世界がより繋がっていくのであれば、多様な人々を理解するためにも、宗教・信仰・思想について知っておくことは必要だろう。


去年は仏教やニーチェについて何冊か読んだけど、今年はそれほど体系的にそっち方面の読書をしなかったように思う。また改めて今年の振り返りはするんで、その時にはっきりするけど。来年は、追っていくテーマを幾つか定め、集中して深めていきたい。この分野についても、そのテーマの一つとしようと思う。