ギリシア人の物語 1;民主政のはじまり
- 作者: 塩野七生
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2015/12/18
- メディア: 単行本
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改革は、既得権階級のもつ欠陥に斬りこまないことには達成できない。斬りこむには、欠陥を知りつくす、と言うか肌で知っている者のほうが有利にきまっている。
第二次ペルシア戦役
1年目の前480年は、サラミスの海戦によってギリシア側が、ペルシア相手に「決定打」を放った年になる。
2年目の前479年は、プラタイアでの勝利に加え、ミカーレとセストスの奪還成功によって、ギリシア側がペルシアに、「とどめ」を刺した年になったのだった。
ツキディデスのおかげで、パウサニアスは、スパルタの「エフォロス」にとってだけでなく、その後も長く、「裏切者」と断罪されてしまったのであった。
おかげで、ペルシア帝国を完膚なきまでに叩きのめした「プラタイアの戦闘」への後世の評価までが、「サラミスの海戦」と並ぶものにならなかったのだ。スパルタが主役の戦闘は、レオニダスと三百のスパルタ兵によるテルモビュレーの玉砕だけが、後世に名を遺すことになってしまったのである。
感想
塩野さんの最新作。僕もローマ前史といえるギリシャ史に興味があったので、それを塩野さんが綴ってくれるのはとても嬉しいこと。相変わらずの力作で、とても楽しく読むことができた。これを機に、ギリシャ神話とかにも親しんでいきたいところ。
ペルシアを追い払った「サラミスの海戦」は有名だけど、その後に行われた陸戦の「プラタイアの戦闘」での勝利と合わせてのペルシアへの勝利だった、というのは初めて知った。そして、そんな重要な戦闘が現代にあまり知られていない理由についても。やっぱり歴史ってのは面白いね。
ギリシアの政治家といえばペリクレスしか知らなかったけれど、それ以前に体制を固めた政治家達について知れたのも良かった。2,3巻の刊行も楽しみ。