戦国・北条一族−関東制覇の栄光と挫折
- 作者: 相川司
- 出版社/メーカー: 新紀元社
- 発売日: 2009/11/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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上記の諸国を結ぶ街道には、国境の峠に関が設けられた。交通の要所であり、軍事上の重要拠点である。
東海道:足柄峠(後に箱根峠、駿河−伊豆−相模国境)
東山道:碓氷峠(信濃−上野国境)
北陸道:三国峠(越後−上野国境)
この峠を越えた地域が「関の東」、すなわち関東であり、「峠の坂」にちなんで坂東とも呼ばれた。
直前の島津征伐と北条征伐とでは、対応が180度異なる。島津氏は助命&本領安堵、北条氏は切腹&所領没収。北条氏への対応だけが、異様なまでに厳しいのだ。しかも途中までは、少なくとも「伊豆・相模安堵」の線で、和睦折衝がなされていた。にもかかわらず、話は立ち消えとなり、一転して過酷な処分が決まる。
その背景には、何があったのだろうか?憶測を述べれば、「北条氏には、安堵に値する本領がない」という理屈が、秀吉サイドに存在したように思う。「伊豆・相模が本領といっても、北条氏の分国は、すべて奪ったもの」。北条氏は故家ではなく、名門保護には該当しない。そもそも、関東支配の大義名分がない家柄となる。ちなみに、島津氏は鎌倉幕府以来の薩摩守護。大胆かもしれないが、このように考えない限り、ふたつの征伐の整合性が取れないのだ。
感想
Truth In Historyシリーズ。やっぱりいいね。北条氏についてはこれまで断片的な知識すら不足していたから、ここでがっつり学べてとても楽しかった。考えてみれば、僕は東京に住んでいるわけだし、まず真っ先に詳しくなるべき土地だろう。北条氏が勢力を拡大して行く中での史跡も多数あるみたいだし、いつか存分に巡ってみたい。その時が楽しみだ。