周囲の環境を理解するほど、生き延びられる可能性が高まる―その結果、自然は人間に、新しい情報を探そうとする本能を与えた。この本能の裏にある脳内物質は何だろうか。そう、ドーパミンだ。新しいことを学ぶと脳はドーパミンを放出する。それだけではない。ドーパミンのおかげで人間はもっと詳しく学びたいと思うのだ。
脳は単に新しい情報だけを欲しいわけではない。新しい環境や出来事といったニュースも欲しがる。
人間は新しいもの、未知のものを探しにいきたいという衝動がしっかり組み込まれた状態で生まれてくる。「新しい場所に行ってみたい」「新しい人に会ってみたい」「新しいことを体験してみたい」という欲求だ。私たちの祖先が生きたのは、食料や資源が常に不足していた世界である。この欲求が、新たな可能性を求めて移動するよう、人間を突き動かしてきたのだろう。
パソコンやスマホが運んでくる、新しい知識や情報への欲求。パソコンやスマホのページをめくるごとに、脳がドーパミンを放出し、その結果、私たちはクリックが大好きになる。しかも実は、今読んでいるページよりも次のページに夢中になっているのだ。
報酬システムを激しく作動させるのは、お金、食べ物、セックス、承認、新しい経験のいずれでもなく、それに対する期待だ。何かが起こるかもという期待以上に、報酬中枢を駆り立てるものはない。ドーパミンの最重要課題は、人間に行動する動機を与えること。
ドーパミンシステムの活動は生きている間に減少していき、10年で約1割減ると言われている。(年を取ると)若い時ほどの興奮を感じることはなく、そこまでのリスクを冒すこともなくなる。ドーパミンがいちばん活発なのはティーンエイジャーの頃。
感想
岡田ゼミで紹介された本。めちゃくちゃ面白そうだったので早速購入。予想通り興味深い、興奮する読書となった。
僕が旅行が好きなのも、新しい場所・情報・体験を求めてのことなんだろうなあ。しかも、それを「実際に得ること」よりも、その「期待を持つこと」こそを求めているとか。
読書好きなのも同じこと。その内容によって知見を得、成長することよりも、ただただ情報を取り入れることこそを求めている。つくづく、人間の本能の強さ、影響力を思うね。
まあ、既にアリリタした身、実利を追求する必要はない。ドーパミンの放出という報酬を得、楽しく生きることを第一目標としても、特に問題はないわけだけど。本能に流されるまま、自動的に行動させられるのは、ちょっと悔しく思うところではあるかな。それに逆らって快楽を逃すのもまた、本末転倒かもしれないけど。
人間のこの仕組みを理解し、逆に上手く利用して、アリリタ生活の充実に繋げたい。