40歳アリリタ(早期退職)達成者のブログ

メインは書評(自分語り)。色々と経験する中で自分の生き方が固まり、2014/11/02の記事を集大成に方針確定。2020年3月末、40歳にてアリリタ達成!

科学するブッダ

感想

2016年のベストスゴ本に選出された本。チェックしてから長いこと放置されていた本書だけど、遂に読む機会を得ることが出来た。そして、とても面白い本だった!スゴ本はちょっと専門領域への関心が強すぎて若干合わなくなっている部分もあって、それもあって後回しになっていた部分もあったんだけど、これは肌に合ったなあ!

 

ニュートン力学からアインシュタイン相対性理論へ至る流れ。ニュートンにあった神の視点と、そこからの人間化の流れ、という切り口。ニュートン力学相対性理論も、それそのものとしては過去に何度も聞いたことのあるものだったけど、それをこうして新たな視点からその意義を説明してくれるのは、かなり得るものがあった。ちょっと興奮した。

さらに、「人間が生物の中で至上の存在である」という「神の視点」。これをダーウィンの進化論にて打つ。

 

科学と初期仏教の類似性の話もなかなか良かったけど。それより、大乗仏教が生まれてきた流れについての話は面白かった。大乗仏教は、釈尊を唯一の存在として認めない宗派だったからこそ、仏典が釈尊由来でなくても揺らがない、と。なるほどねえ。

そして、大乗仏教多世界解釈。「この世界にブッダがいないなら、他の世界から仏を探せばいいじゃない?」という発想の転換。仏がいるという「世界」の知識はあったけど、それがこういう理屈の元生まれた考えだったとは、今まで知らなかった。その知識が、一つの体系の下にしっかり繋がった感覚。これは、この本を読めて良かったよ。

 

科学の人間化を肯定しつつ、宗教の人間化で救われない人たちに、絶対宗教の必要性も認めてあげる著者。やっぱりどうしても、人間は弱い存在。僕はアリリタ出来るだけの資産を築き、ある意味修行生活を送れるほどの恵まれた境遇にあるけれど。そうでない人たちが大半の世の中。どこかで折り合いをつけ、生きていくしかないんだよな。それぞれの立場から、自分なりの幸福を得ていけるといいよね。こうして本を読み、知的好奇心を刺激されるのは、僕にとって極上の生き方。今後も読書に親しみ、そこで得た知識で更に世界を広げ、アリリタ生活を満喫していきたい。