40歳アリリタ(早期退職)達成者のブログ

メインは書評(自分語り)。色々と経験する中で自分の生き方が固まり、2014/11/02の記事を集大成に方針確定。2020年3月末、40歳にてアリリタ達成!

「縮み」志向の日本人

真に日本的なものを発見するためには、欧米の眼ばかりでなく、言語、風俗、文化などが酷似しており、またむかし日本文化にも大きな影響を与えた韓国の眼をこそ通すべき。
ルイス・フロイスの日欧文化比較に日本の子供たちの風俗として指摘されたものをみると、24項目のうち、本当に日本的な特異性としてあげられるのは、わずか4つか5つにすぎません。

 

日本的な特性は事物を拡大するより、縮小するところにある。

俳句は、「縮み志向」をあらわす日本文化のテクストなのです。俳句はたんに短い詩であるというところにのみ特色があるのではありません。大きく広い、そして漠然とした世界を、小さく縮小しようとするところに、いわば小さな巨人をつくるところに、そのユニークな美学があるのです。
小さい一寸法師のなかに巨大な力をみた日本人はまた、細かくて緻密なもののなかに、もっとも美しい「美」を発見したのです。

 

ひさきものはみなうつくし。 枕草子

 

石庭で姿を消した花はいけ花となり、木は盆栽となって室内に入って来た。砂に変わって捨てられた河や泉の水は、茶となった(茶室文化)。大宇宙が、あの広闊な自然が、丸い茶碗のなかに圧縮され、それがさらに一滴一滴の水となって人体内に入るようになります。自然と人間は茶によって完全に一体と化し、自然における「縮み文化」は四楽章の演奏を終えることになるのです。

日本人は理念、そして現世を超越した理想の原理を探索する抽象の世界とは縁遠いのです。茶室のなかで市中の山居を楽しむ人々には、そもそもそういったものが、やくたいもない苦しみとしか映らないのです。

都市を捨てて本当に山居生活をするよりも市中の茶室で演出された山居のそれのほうが、ずっと閑居の楽しみを与える便宜的な生活になるのです。実生活よりもそれを演出した演劇のほうが、ずっと面白く、悲しく、感動的であるようにです。模様木の盆栽が本当の木よりずっと自然らしく見え、石で組み合わせた庭の磯が本当の海よりもっと美しいようにです。

 

 

感想

本「日本史の謎は「地形」で解ける」で紹介された本。そこで紹介された日本人の性向がかなり的確に感じたため、もっと深く知りたいと思って手に取ったんだけど。かなりのスマッシュヒット!のめり込んで読了した。

 

本「菊と刀」は2012年に読んだことがあったし、日本人論には興味がある。分析系、好きだしね。それが序盤、「菊と刀」は欧米とアジアの比較であり、日本人特有の分析にはなっていない、という指摘にはガツンとやられた。あの本を読んで大いに納得していたからなあ。一つの本だけで終わらせず、複数の本で色んな視点から眺めてみることの重要性を思わされるね。本書は1982年の発刊。名著として評価されているし、周辺本として探せば絶対に当たっただろう本だからな。

 

日本人論を通して自分の性格・行動を見返す機会にもなったし、今後の趣味の模索にもなったし、有意義な読書をすることができた。