- 作者: 北原茂実
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/11/22
- メディア: 新書
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一般に、ジャーナリズムとは「切り取る仕事」だと言われています。現実のどこに目を向け、どう切り取るのか。日本のジャーナリズムにおいては、ことさら悲劇的なもの、感情的なもの、扇情的で絵として面白いものばかりを切り取り、現実を正しく伝え切れていないところがあるように思われます。
善意で動く人は、余程のことがないかぎり自分の考えを変えようとしません。むしろ損得で動く人であれば、物事を客観的に判断して自らの考えを改めることもありますが、善意の人にはそれができません。「自分は正しい」「これは善いことだ」という確信があるため、第三者の声に耳を傾けることも、数字や科学的データから判断することもなく、自分が信じた道を突き進んでいきます。
感想
北原先生の著作、第二弾。今回は東北復興について。実際に何度も現地入りしており、そこで感じたメディア、法制度・組織制度、寄付の問題なんかについての話は結構面白かった。制度の硬直化ってのは、僕も会社で感じることがあるけど、ある程度は仕方ないんだろうなあ。持続可能性やら平時の効率性やらを考えると。上手くバランスがとれるといいんだろうけど。寄付については、僕も前々から思ってきたことなんで、その通りだな、と。
今作でも色々と復興プランを考えて動いていたんだけど、当初のアイデアは地域医療振興協会の反対にあって挫折。別のアプローチを考えているらしいが、それについては深く述べられず。正直言って、前作よりは内容が薄いように感じた。やっぱりこうして一冊の本としてまとめたからには、それなりのクオリティを要求してしまうよな。まあ、現在進行形で動いている話だから、結末まで要求するのは酷だってのは分かってるんだけど。
そういう状態でも出したっていうのは、東北の被害についての記憶が生々しいうちに、読者一人ひとりによく考えてほしいって思いもあったんだろう。
この本を読んだからってわけでもないんだけど、来週からの夏休みを利用し、東北に行く予定。平泉に行った帰りに、太平洋沿岸をドライブしてみようと思っている。著者は震災後すぐに現地に行った時のことについて、「東北の沿岸部で見た光景は人生観を一変させられるほど凄まじいものでした。」と言っている。あれから既に1年半が経過し、どれほど爪痕が残っているのかは分からないけど。現地に行くことで何か感じられるものがあるといいなあ。