40歳アリリタ(早期退職)達成者のブログ

メインは書評(自分語り)。色々と経験する中で自分の生き方が固まり、2014/11/02の記事を集大成に方針確定。2020年3月末、40歳にてアリリタ達成!

不愉快なことには理由がある

不愉快なことには理由がある

不愉快なことには理由がある

生存戦略として社会(コロニー)を選んだ生物は、遺伝子が利己的であることによって、個体としては利他的に振舞うはずだ−ゲーム理論によって数学的に導き出されたこの仮説は、その後、さまざまな実証研究によって科学的事実であることが証明されました。


「ユーロ危機」の本質はどこにあるのでしょうか。それは、「国家はもはや市場を制御することができない」ということです。市場(資本主義)に合わせて国家を再設計しないかぎり、問題は解決できません。なぜなら、「問題」は国家そのものが起こしているからです。
これまで多くの論者が、「市場原理主義が共同体を壊すのだから、国家は市場の暴走を止めるべきだ」と主張してきました。しかしユーロ危機では、明らかに「国家が市場を壊した」のであり、財政を統合しないまま通貨だけを共通にする制度設計の失敗をなんとかしなければ危機は解決しません。


スモールワールドでは、それぞれの要素がお互いにフィードバックしあうことで、わずかな初期値のちがいから大きな差が生れます。私たちの社会はスモールワールドですから、人気(評判)は特定の人物に一極集中していきます。市場も、ひととひととがお金をやりとりするスモールワールドです。そうであれば、市場のハブとなる特定の企業や人物に富が集中するのは当たり前です。
良心的なひとたちはきっと同意しないでしょうが、平等で小さな経済よりも、不平等で大きな経済のほうがみんなが幸福になれます。「格差社会」が自由経済の本質であるならば、それを道徳的に非難してもあまり意味はありません。



感想
本「残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法」を書いた橘玲さんの著作。ニコ動で岡田斗司夫さんとの対談動画なんかを見て、また著者に興味が湧いてきたんで読んでみた。
この本は週刊プレイボーイの連載をまとめたものらしく、1話読み切りで話題がどんどん飛んでいく。一つのテーマをもっと深く扱ってほしいって気持ちもあったけど、まあこういうスタイルもたまにはいいか。そうやってテーマが多岐にわたる中で、今の僕の関心にフィットする部分も多くあって、楽しい読書になった。


序盤は、これまでの著作でも扱われていた「進化心理学・進化生物学」の紹介。生物の利他性すらそれで説明が出来る。この考え方でどこまでのものが扱えるようになるのかは分からないけど、進化論を軸に色々な分野の知の統合が進んでいるってのは面白い。今後にも期待しちゃうね。


資本主義、民主主義、グローバル主義。これからの世界が採用するモデルがどういうものになるのか。それぞれが対立概念なのか、並立する概念なのかもよく分からないし。注視していきたい。どれが進むにせよ、何事も行き過ぎは良くないと思うんだけど、どうなることやら。理想論を言ったって仕方ないし、今後の世界で格差が進んでいくのはある程度受け入れざるを得ないだろう。そして、僕はハブにはならないだろう。
本「2052」によると、「少なくとも2052年までは、十分な食料がある」とのこと。食さえ問題なければ、生きてはいける。そして、情報という資源は、下位にも溢れるほど回っていくものだし。というわけで、上位グループに入れなかったしても、それなりに楽しく生きていけると思ってるんだけどね。とはいえ、成り行き任せにはせず、しっかり備えていきたい。