40歳アリリタ(早期退職)達成者のブログ

メインは書評(自分語り)。色々と経験する中で自分の生き方が固まり、2014/11/02の記事を集大成に方針確定。2020年3月末、40歳にてアリリタ達成!

2052 今後40年のグローバル予測

2052 今後40年のグローバル予測

2052 今後40年のグローバル予測

世界の総人口は2040年直後に81億人でピークとなり、その後減少する。世界全体の財・サービスの消費は2045年にピークを迎える。
人類は21世紀後半に、オーバーシュートと崩壊(まったくコントロールが利かなくなった大規模な破滅)を経験する。同時に私は、2052年以前に世界は数限りないオーバーシュートと衰退(比較的繁栄した時期の後、次第に困窮していく)を経験すると確信する。


多くの人が、将来を見据えた政策による解決には反対であり、むしろ自然な成り行きによる「技術的な解決」に頼ろうとするだろう。要するに彼らは、世界に限界があるという考えを受け入れたくないのだ。そして、地球の限界に近づく前に、技術がそれを取り払ってくれると彼らは信じている。言い換えるなら、技術の進歩が限界を押し戻し、地球の環境収容能力を拡大することができると信じているのだ。私はそのような楽観的な技術信奉を受け入れるつもりはない。


ネットの普及により、プライバシーを守るという永年の希望は潰えることになる。すべての情報はどこかでデジタル化され、転送可能なものはどこへでも転送される。物理的なプライバシーは存続するが、避けられない流れとして世界は次第に透明になり、すべてが周知されるようになる。
(自然、野生動物、スキー、高級食物、ワイン等の)エリート層が享受していた贅沢が失われつつある。概して、エリート層の旅行は、気候変動と旅行者の激増という、二つの打撃を受けるだろう。


人々は現状を維持しようとし、貿易の利益を犠牲にしても、文化的伝統や国民性を守ろうとし始めるのだ。グローバル化の流れは次第に勢いを失うと私は予想しているが、世界貿易がすっかり衰退するようなことにはならないだろう。貿易の成長速度は遅くなるが、貿易は依然として、長期的には労働コストの均等化を進めるだろう。


2052年にはほとんど消滅しているであろう古いパラダイムの核となっているのは、物質、つまり実際に目で見ることのできるもののみが真の現実だという考え方である。「真の現実」には、非物理的なものも含まれるようになるだろう。
やがてコンピュータの書いた優秀なプログラムは、人間の書いたプログラムに取って代わるようになり、ついには、コンピュータが設計したコンピュータが人間の設計したコンピュータを凌駕する。2052年までに、コンピュータは人工知能を進化させ、意識さえも進化させる。


富裕国の平均的な収入レベルがあれば、より高い給料を求めて視野の狭い競争を続けるよりも、安定した消費という制約の中で、主観的な幸福の追求を新たな目標にすることは十分に可能である。経済的成功がすべてではない。それが真実だという具体的な証拠を、あらゆる場面を利用して世に知らしめよう。大切なのはいかに時間を過ごすかということなのだと、人々に伝えよう。
⇒20の個人的アドバイス



感想
世界に衝撃を与えた「成長の限界」の著者の一人が描く、2052年の世界の予測。「ワークシフト」もそうだけど、こういう未来を予想する系の本は好き。どの程度実現するかは別にして、未来に備えるためのベースを提供してくれるから。ここまで長期の予測のほうが、大枠で事態を捉えられる分、実現性は高いのかもな。参考にしよう。


成長の限界」の警告があっても、人類はなんら抑制することなく、成長に向かって突き進んできた。多少の備えはしてきたけれど、本格的に自覚するのは、身動きが取れなくなる地点にまで至ってから、だろうな。「人類に何らかの手立てを打つつもりはないのだと確信した。」っていう著者の見方はその通りだと思う。本書による警告も、大した効果はないんだろうな。


面白いのは、著者自身がそれを受け入れ、衰退していく世界での個人の生き方をアドバイスしているところ。僕は現時点でも結構、そのアドバイスに沿った生活をしているかな。「収入より満足に目を向ける」「最新の電子エンターテインメントを好きになる」「大勢の人に荒らされる前に世界中の魅力あるものを見ておこう」「あなたの生活水準を脅かす持続不可能性について知ろう」「成長がよいことだという考えから脱却する」とか。
著者の予測では、崩壊が起きるのは21世紀後半とのこと。2052年の時点でも衰退は始まっているけれど、悲惨な状態にまでは至らなそう。2052年に僕は72歳。そこまで生きられれば十分だし、ぎりぎりセーフって感じかな。人ってのは与えられた環境に順応してそこで喜びを見出せる生き物だと思うし、それ以後に生きるとしても何とかやっていくんじゃない?超楽観的な考え方だけど。


一つ引っ掛かったのは、未来において中国の繁栄を予想しているところ。「米国から中国への世界のリーダーシップの委譲は平和裏に行われる」んだってさ。僕としては、そんなに順調に進むものじゃないと思うけどね。まあ、中国の混乱・破綻が生じたら影響を受けずには済まないし、そんなのは起きないに越したことはないけど。