40歳アリリタ(早期退職)達成者のブログ

メインは書評(自分語り)。色々と経験する中で自分の生き方が固まり、2014/11/02の記事を集大成に方針確定。2020年3月末、40歳にてアリリタ達成!

徒然草

第38段
名誉欲と利欲とに酷使されて、心静かに過ごす暇もなく、一生を苦しんで終わるのは愚かなことである。
あらゆることはみな正体がなく空虚なものである。論ずるに足りないし、願うまでもない。

 

第75段
心がほかにまぎれることなく、ただひとりでいることこそ実によいものである。
世間に和すれば、心が外界の俗事に曇らされて迷いがちになり、他人と交際すれば、言葉が外聞を憚って、完全に本心ではないことを言うようになる。世俗の諸縁を離れて我が身を閑寂にし、雑事に関わらないで心を安らかにすることこそ、かりそめながら生を楽しんでいるとも言えよう。

 

第188段
一生の間に、主として望ましいと思う事柄の中で、どれを優先すべきかとよくよく考え比較して、一番大事なことを熟慮し決定した上で、それ以外は断念し、一つのことに精励すべきである。それ以外は擲って、重要なことをすみやかに行うべきである。どれも放棄するまいと心中執着したままでは、一つのことすら成就するはずがない。
一つのことを必ず成し遂げようと思うならば、それ以外のことが駄目になることを歎いてはならない。すべてのことを犠牲にしなくては、一つの大事が成就するはずがない。

 

 

感想

日本古典に親しむ試みとして。これもいつかは読んでみたかったので、ようやくその念願が叶った。出家した兼好は、アリリタした僕と似たような境遇でもある。それにも親しみを感じていた。読み終わって分かったことには、兼好は出家しても俗世から離れることなく、たびたび都での交流を楽しんでいたみたいだけど。まあ、僕もアリリタしたといってもネットで俗世には深く関わっており、手放すつもりもないんだから、似たようなものかもね。精神は自由。

 

兼好自身も時代の流れの中に存在しており、文章は源氏物語枕草子に倣い、生き方は西行鴨長明に倣っていた。西行についての本も今度読んでみよう。

 

吉田兼好」という呼び方が不適当であることを初めて知った。吉田神道創始者が、権威付けのために兼好を吉田家に取り込んだんだとか。面白いね。その流れがあったからこそ、徒然草が現代にまで残った面もあったのかな。良いことが知れて満足。なかなか収獲のある読書となった。